「背のひく~いオデッセイ」は何だったのか ミニバン先駆者「変身」の歴史 新型は
オデッセイ、ついに背が高く… 周囲を驚かせた変身
そんな市場の変化をホンダはしっかりと認識したのでしょう。2013(平成25)年に登場した5代目モデルでは、そのコンセプトを一変させます。全高を初代よりも高い1695mmにアップさせ、左右のスライドドアを採用し、オデッセイを普通の背の高いミニバンに近づけたのです。
これには、我々のようなメディアも驚きましたが、3代目、4代目オデッセイのオーナーも驚いたはずです。実際、「これまで乗っているオデッセイから、乗り換えるクルマがなくなった」という声をオーナーから聞いたこともあります。
市場の変化に敏感に対応したと言えば、その通りでしょう。オデッセイという車名を残すことができたと言えば、変節も仕方のないことだったかもしれませんが、5代目モデルはビジネス的に大成功したわけではありません。もしかすると、2013(平成25)年まであったホンダの“背の高い“最上級ミニバン「エリシオン」の客をゆずり受けただけかもしれません。ライバルより若干は背が低いものの、5代目は、“背が高いスライドドアのミニバン”というライバルのフォロワーそのものにしか見えません。
本来オデッセイは、新しい提案をしてきたのが歴史であり、そのヒットの理由でした。今回のマイナーチェンジに関して言えば、オデッセイの伝統を考えれば、何がしかの新提案があってほしいところ。しかし、残念ながら今回のマイナーチェンジは、主に顔つきの変更や内装系の改良と言った内容で、それほど大きなトピックはなさそうです。
今回のホンダの行動を市場はどう受け止めるでしょうか。売れ行きは回復できるのか。その数字に注目したいと思います。
【了】
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。
本来オデッセイクラスのトレッドなら丁度良い高さかな、外国に売られて行ったフェリーは増築して転覆したりしましたがね
キャンピングカーもワイドトレッドか後輪にはダブルタイヤですかね
3・4代目のオデッセイは、全高をタワー式駐車場に入る高さにすることで、ミニヴァンの側からステーションワゴンとミニヴァンの融合を目指した車でした。ホンダの名車といっていいと思います。
5代目(現行)のオデッセイは、エリシオンを吸収したことで背高・スライドドアになりましたが、オデッセイの長所もエリシオンの長所も引き継げない、どっちつかずの車になってしまったようです。
ボンネットライン直下のスペーサーを予めセダン用に入れておくことで、タワー式駐車場に入ることのできる全高に抑えたオデッセイと、室内高を高くとった1BOX型ミニヴァンのエリシオンを、同じ車台(プラットホーム)で造ることはできなかったのかという疑問を持たざるを得ません。