「定期券」最近買いましたか? 戻らぬ需要 テレワーク時代の「次」模索する鉄道会社

お得すぎ? それで定期券の需要は戻るのか

「DENTO」の発表時には、記者からも「お得すぎるのでは」といった声が聞かれましたが、東急は儲け度外視で、新たなニーズを模索しようとしています。

 もちろん、沿線在住者の囲い込み、という側面もあるといいます。グループ総力を挙げ、移動サービスと生活サービスをシームレスにつなげ、移動量が減った沿線の都心通勤者へ「移動したくなる仕組み」をつくることが狙いだそうです。

 電気やガスの「定期券割」や、「DENTO」のサービスは、東急線の1区間、1か月であっても有効な定期券であれば対象になるといいます。しかしながら、これらのために利用者が「定期券を買おう」となるかは未知数と言わざるをえません。

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実証実験を行う「DENTO」の概要(画像:東急)。

 定期券は鉄道会社の大きな収入源ではあるものの、割引率も大きく、東急の高橋和夫(「高」は正しくは異体字)社長は「ともすればマイナスにも影響しかねない」といいます。

「古くからある定期券の存在が、本当に今に合っているか、見直しも必要でしょう。乗った頻度で割り引く、といったことも考えられます」(東急 高橋社長)

 JR東日本などは、混雑時間帯に運賃を高く、空いている時間帯は安くするといった「変動運賃制」のほか、従来型の通勤定期券を値上げする代わりに、時間帯限定の割安な「オフピーク定期券」を導入することなどを検討しています。これには、ピーク時間帯の運行にかかるコストを低減する目的もあります。

 また、ICカードでの乗車でポイントを付与するといった施策も複数の鉄道会社が導入しています。利用に応じた柔軟なサービスが、今後ますます発展していく可能性がある一方で、従来型の定期券は、その存在意義が揺らいでいるといえそうです。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 定期券の値段設定が大体月20日通勤した場合の計算だったりするからなあ。東急ですら1ヶ月定期が大体ICカード乗車料金の37回分だからな。そりゃ週1回でも通勤しないのならICカードで決済するよ。

    もう大阪メトロみたいに、指定区間の上限が6ヶ月定期の1/6の値段になる方式に移行すりゃいいのに。