「最初のUFO事件」は日本軍潜水艦がキッカケ? 全米が戦慄した「ロサンゼルスの戦い」

日本側に記録ナシ…アメリカ軍は何と戦っていたのか?

 しかし、日本海軍の記録では該当時期にロサンゼルス付近を飛行した航空機はありませんでした。伊十七は零式小型水上偵察機を1機搭載していますが、ロサンゼルス上空に飛ばすような無茶はしません。レーダーに映り、陸軍の公式報告書にも記載された未確認飛行物体が何だったのかは、2020年現在も分からないままです。

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海軍従軍画家の御厨(みくりや)純一が描いた「わが潜艦加州沿岸を砲撃」。日本国内でも快挙として宣伝された。

 伊十七の砲撃の物理的戦果はほとんどありませんでしたが、ロサンゼルスの戦いを生起させ間接的な戦果を上げたといえなくもありません。以降アメリカ沿岸部は敵襲に怯えて防備は厳重になり、都市部では映画館やナイトクラブの夜間営業停止、防毒マスクの配布など市民生活にも大きな影響を与えます。「見えない敵」の厄介さは、現代の我々も身につまされているところではないでしょうか。

「未確認飛行物体(UFO)」という言葉が登場するのは、1947(昭和22)年7月2日の「ロズウェル事件」からですが、このロサンゼルスの戦いが記録に残るUFO事件の最初ではないかともいわれています。

 同日の2月25日午前3時ごろ、サンタモニカの陸軍第205防空部隊が気象観測用気球を上げていました。未確認飛行物体の正体はこの気球だったという説明もありますが、時系列上で辻褄が合わない所もあります。「ロズウェル事件」も、のちに空軍が気象観測気球だと公式発表し、かえってUFO疑惑を深めたというのも興味深いところです。

【了】

【画像】大騒動! 「ロサンゼルスの戦い」を大きく報じる地元紙の紙面

Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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