箱根駅伝を路線バス乗り継ぎでたどる【東京~横浜】 「花の2区」市バスでごぼう抜き!

【2区/9区】平地から一転急坂「花の2区」 涙の名場面で途中下車!

・区間:鶴見中継所(横浜市鶴見区)~戸塚中継所(同・戸塚区)、23.1km
・大会区間記録:2区/1時間5分57秒、9区/1時間8分13秒

●乗り継ぐバス路線
・横浜市営バス「16」市場~鶴見中央4丁目(注:市場から鶴見駅方面へのバスは平日1本のみのため、逆方向のバスで回り込む)
・横浜市営バス「18」:鶴見中央4丁目~生麦
・横浜市営バス「86」:生麦~横浜駅前
・横浜市営バス「105」:横浜駅前~高島町
・横浜市営バス「106」:高島町~権太坂上
・横浜市営バス「横17」:権太坂上~品濃口
・神奈中バス「横43」:品濃口~戸塚駅東口(戸塚バスセンターまで約200m徒歩)
・神奈中バス「戸50」:戸塚バスセンター~大坂上
(大坂上~戸塚中継所 約300m徒歩)

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鶴見中継所の全景(2020年11月、宮武和多哉撮影)。

 2区(復路は9区)は最長の区間で、「花の2区」と呼ばれるほどエースの投入が多く、早大・瀬古利彦選手(1977~1980年/現・日本陸上競技連盟理事)や同・渡辺康幸選手(1993、1995、1996年/現・早大陸上部監督)など、過去には錚々たる面々が走っています。往路の9区も、テレビドラマ「陸王」でマラソン競技者を演じるなど、俳優として活躍する日大・和田正人選手(2012年)などが活躍しています。

 鶴見から続く横浜市街地周辺の平坦な道のりは、時として日大・ギダウ・ダニエル選手が20人を抜き去った「ごぼう抜き」(2009年)のような展開もしばしば見られるものの、難関はこのあと。コースは保土ヶ谷から大きく起伏を描き始め、切り立った崖の下を走る「権太坂」(最寄バス停:権太坂上)など、一転してひたすら地形に揺さぶられる起伏が続きます。必死の形相でランナーが通過する坂をバスの車窓に眺めつつ、数々の名場面を思い出すのも良いでしょう。

 そしてこの坂の先にある「児童公園入口」交差点(最寄バス停:児童遊園地入口)付近は、2013(平成25)年に怪我のため出場できなかった東海大のエース・村澤明伸選手が、給水要員としての役割を果たした場所でもあります。チームメイト・早川 翼選手(東海大・この回は関東学連選抜として出場)にボトルを渡すために並走しつつ、怪我がなければ自らが担ったであろう区間を50mほど走ったのは、記憶に残るドラマでしょう。ここはバスを降り歩いてみたいものです。

 この先、駅伝のコースは東海道(国道1号)からJR戸塚駅周辺をバイパスする山側の「横浜新道」を経由します。横浜新道は歩道があるので徒歩で向かうことは可能ですが、戸塚中継所までバス路線は途切れてしまいます。

 横浜新道開通前のルートである東海道沿いに、バスを乗り継ぎ戸塚駅を経由する形で戸塚中継所へ向かってみましょう。戸塚駅の北側にある戸塚踏切は長らく開かずの踏切として知られ、かつてはランナーを足止めする難所でしたが、2016年、この上をまたぐ橋の完成とともに姿を消しました。テレビ中継でもよく目立つ「タックルベリー 戸塚中継店」の近くにある戸塚中継所には、神奈中バスの大坂上バス停から300mほど急な坂道を登ると到達できます。

※ ※ ※

 路線バスの座席から眺める箱根駅伝のコースは乗用車よりも高く、少しだけランナーに近い視点を楽しめます。ちょっとした起伏など、テレビの中継ではわからない発見もあるでしょう。何度も乗り換えながら、さまざまな駅伝の聖地を巡るのも良いのではないでしょうか。

【了】

【地図】箱根駅伝ルート1~2区/写真ギャラリー

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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