ピンとこない「首都高と雪」だから恐ろしい 雪に弱い首都高 関係者の危機感
凍結させない でも雪が積もってしまうと恐ろしいことに
首都高は全線のうち約75%が橋(高架橋)です。地熱もないことから、河川に架かる橋と同様、冷たい風が吹き抜け凍結しやすく、また都市部では高層ビルや遮音壁に囲まれ日が当たらず溶けにくいのです。これには、凍結前から凍結防止剤(塩水)散布を行い、凍結しないようにすることを徹底しているといいます。
しかし、雪が降り積もってしまうと、郊外の高速道路のようにその場から雪を排出することができません。雪を取り除き、それをダンプに積んで捨てに行く作業が必要です。片側2車線のうち1車線を除雪しながら、もう1車線を通行させることも困難で、通行止めは長時間になりがちだそうです。
首都高速道路 保全・交通部 交通管理課の溝口健二課長は、山手トンネルで発生した立ち往生について、スタック発生現場がJCTの渡り線であったことから、道路カメラなどで大型車のスタックが見つけられず、情報把握が遅れたと振り返ります。これを受けて順次カメラを増設・更新し、路線全体のすみずみまでカメラで把握できる体制を整えてきているといいます。
このほか、凍結防止剤散布の体制を強化したほか、提携のレッカー会社を増やし、立ち往生リスクのある約40か所の近くにレッカー車を配置。スタックが発生したときには迅速に対応し、かつ長丁場となることを想定した体制を組んでいるとのこと。
それでもなお関係者が危機感を募らせる要因は、通行する車両の雪対策が不十分であることです。
2021年1月12日に東京でも降雪が予想されたことから、前日は冬タイヤの装備やチェーンの携行が路上の情報板を通じて呼び掛けられていましたが、「近づいてくる台風と違って、雪はどうしても警戒が薄くなる」とのこと。加えてコロナ禍、移動手段にクルマを使用する人が多くなっていることもあり、不慣れなドライバーが多いことも懸念しているといいます。
ウェブサイトだけでなく、スマホアプリやツイッター、LINEなど、情報発信の手段も増やしているとのこと。取材した首都高の関係者は口々に、雪への備え、そして情報収集の大切さを訴えました。
【了】
融雪剤…積雪のあとしばらくは走らせたらクルマの下回りを真水で洗ってあげなければ早く傷みそう…