来るか「軽戦車の時代」 戦車はどこでも走れるけれど どこでも走れるわけではない!

どんな悪路もパワフルに駆け抜ける戦車ですが、一方でその走れる範囲はかなり制限されてもいます。制限の主要因は重量、というわけで、ほぼ淘汰されたかに見えた「軽戦車」が、いま再び注目を集めつつあるかも、というお話です。

戦車の走行を制限するおもな要因は…?

 戦車といえば、強力な主砲と強靭な装甲、強力なエンジンで駆動する履帯(いわゆるキャタピラ)でどんな地形でもドンドン突き進んでいくイメージです。確かに現代の第3世代と呼ばれる戦車のエンジン出力は1000馬力以上ありますが、一方で車両全体の重さは50tから70tにもおよびます。よって、どこでもドンドン突き進むパワーはありますが、かといってどこでも走れるわけではありません。

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チベット高原で訓練を行う中国陸軍の15式軽戦車。標高4000m以上の高地でも運用できるという特異性能を持っている。

 なんだか相反することを言っているようですが、50tを超えるような鋼鉄の巨体は走るだけで道路や橋を壊してしまい、最悪、自分も動けなくなってしまうこともあるので、実際の行動は制限されてしまうのです。走破性を過信して、狭隘(きょうあい)な地形に入り込むのも危険です。戦車部隊には必ず回収車が同行するものの、50tから70tもの鋼鉄の塊が動けなくなったら、回収の苦労は想像するに余りあります。

 日本の道路インフラは世界でもトップクラスで、単純な舗装率だけでなく、メンテナンスも行き届き非常に高品質です。日本の第3世代戦車である90式戦車は重さ約50tで、他国の同世代戦車と比べるとまだ軽いほうといわれますが、2010(平成21)年の防衛省資料によると、通れる主要国道の橋梁は65%とされています。約44tになった10式戦車でも84%だそうです。いくら走破性に優れていても、通行できない橋があればそれ以上、前進できません。

【写真】立往生! ちょいと無茶したM1「エイブラムス」戦車

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