来るか「軽戦車の時代」 戦車はどこでも走れるけれど どこでも走れるわけではない!

どんな悪路もパワフルに駆け抜ける戦車ですが、一方でその走れる範囲はかなり制限されてもいます。制限の主要因は重量、というわけで、ほぼ淘汰されたかに見えた「軽戦車」が、いま再び注目を集めつつあるかも、というお話です。

「戦車不要論」の「行ったり来たり」

 海で戦艦が滅んだように、重厚な戦車も絶滅危惧種ではないかという言説は根強く、何年もこの議論は続いています。最近の論調では、「使える」のはやっぱり軽い戦車ではないかという方向に傾いているようです。具体例としてアメリカの「MPF(Mobile Protected Firepower、機動防護火力)」、中国の「15式軽戦車」、日本の「16式MCV(16式機動戦闘車)」などが挙げられます。従来のイメージから戦車と呼んでよいのか悩むような戦闘車もあります。

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アメリカ陸軍の使いやすい戦車を目指して(?)公開された、ゼネラルダイナミクス社(GDLS)で開発中のMPFのプロトタイプ(画像:GDLS)。

 たとえば、アメリカには世界最強とも評価されるM1「エイブラムス」戦車があるものの、動かすだけで大変なコストが掛かります。燃費だけ見ても1マイル(1.6km)走るのに1ガロン(約4.5リットル)の燃料を消費するといわれていて、クルマの燃費のように言い直せば1リットルあたり425m、となります。燃料タンク容量は500ガロン(1892リットル)もありますが、どこで給油させるかはいつも戦車隊指揮官を悩ませます。

 またM1は、カタログデータ上では路上最高速度100km/h以上とされていますが、実際には激しい振動で自分も道路も壊してしまうので68km/h程度が限界とされています。

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MPFのプロトタイプ。人と比べてもかなりコンパクト(画像:GDLS)。

 そのアメリカ陸軍が2021年初頭現在、開発中のMPF(機動防護火力)とは、何だか分かるような分からないような名称ですが、敵の直射火器の射程内で戦闘するという広義の戦車のような働きが期待されています。

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MPFの側面装甲。必要に応じてボルトなどで追加装甲が装着できる構造(画像:GDLS)。

 MPFはM1ほど「大飯喰らい」ではありません。追加装甲を装備しても重さは半分以下、燃費もよく、メンテナンスも簡単で運用コストもかからないそうです。加えてMPFは、M1「エイブラムス」戦車の最新バージョンSEPV3と基本、同じディスプレイ、アーキテクチャで構成されており、最新の射撃管制とソフトウェアを搭載しています。

【写真】立往生! ちょいと無茶したM1「エイブラムス」戦車

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