戦車のようで戦車じゃない でも戦車部隊には必須な「89式装甲戦闘車」って何者?

89式装甲戦闘車が戦車ではないワケ

 89式装甲戦闘車は戦車と同じ履帯を装備していて、旋回する砲塔には大きな機関砲が搭載されています。その見た目から戦車とよく間違えられますが、実のところ戦車とはまったく異なる性能を持っています。

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搭載する35mm機関砲を射撃する89式装甲戦闘車。連続した射撃も可能で、87式自走高射機関砲と同じ機関砲を装備している(武若雅哉撮影)。

 何よりも砲塔が違います。戦車の砲塔は、戦車同士の戦いにも耐えられる分厚い装甲に覆われていますが、89式装甲戦闘車のそれは戦車ほど厚くはありません。これは戦車との戦闘を想定していないためで、89式装甲戦闘車と同等の性能を持つとされる、諸外国の歩兵戦闘車が装備する30mm前後の機関砲による攻撃を防げる程度だといわれています。

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79式対舟艇対戦車誘導弾を射撃する第11普通科連隊の89式装甲戦闘車(武若雅哉撮影)。

 また、89式装甲戦闘車の主砲は35mm機関砲で、これは87式自走高射機関砲と同じものを装備しています。陸上自衛隊のほかの戦車が使用するものよりも砲弾は小さく威力には劣りますが、連射が可能で、比較にならないほど多くを搭載します。さらには、砲塔側面に79式対舟艇対戦車誘導弾、通称「重MAT」を2発搭載し、敵の戦車を発見した時に先制攻撃をすることもできるのです。

【写真】色違い? いえ「偽装」です アメリカ色に染まる89式装甲戦闘車

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