戦車のようで戦車じゃない でも戦車部隊には必須な「89式装甲戦闘車」って何者?
こう見えて10人乗り 戦車との決定的な違い
車体にも大きな違いがあります。戦車の車体後部には大きなエンジンが搭載されていますが、89式装甲戦闘車の後部には最大7名の人員を乗せるスペースが設けられています(ほか乗員として3名、合わせて10名まで搭乗可能)。その人員が車外に出なくても小銃や機関銃の射撃をすることができるよう、車体の側面と後部には「ガンポート」と呼ばれる回転式の銃眼が備えられており、そして当然ではありますが、人員が乗降する後部ドアも備えられています。
これらが、89式装甲戦闘車は戦車のような見た目をしていても、戦車ではないという理由になります。
確かに戦車は高い攻撃力と防御力を持っていますが、戦車だけでは敵の陣地を奪うことができません。そのため、戦車部隊に追従することができる履帯(いわゆるキャタピラ)を装備し、場合によっては自ら戦闘することが可能で、ある程度の装甲を持っていることから内部の人員を保護することができて、いざという時には後部から人員を降ろし、そして最終的に戦闘を終わらせるには、普通科部隊が持つ89式装甲戦闘車が必要、というわけなのです。
【了】
Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)
2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。
コメント