世界最大の戦艦「大和」をコスパで考える 「バカ高い」「税金の無駄使い」は本当か?

「昭和三大馬鹿査定」の一つにも挙げられた世界最大の大和型戦艦は「高い買い物」だったのでしょうか。当時のほかの艦艇や航空機、空母と比較すると、戦艦「大和」「武蔵」の「コスパ」が見えてきます。

空母は艦載機にお金がかかる

 つまり、翔鶴型空母1隻を戦力化するには、建造費の8449万円+航空機1105万円=9554万円程度は必要です。大和型2隻(2億7102万円)を取りやめて、代わりに翔鶴型3隻を戦力化するなら2億8662万円が必要ですし、前述した建造施設の問題もありますから、現実的には史実の大和型2隻、翔鶴型2隻を翔鶴型4隻に変えられる程度です。

 なお、この航空機1105万円とは「九六式」の艦載機をマル三計画時に調達した場合の推定値で、この価格では太平洋戦争開戦時の零戦、九九式艦爆、九七式艦攻は用意できません。艦載機をモデルチェンジする場合も、撃墜された機体を補充する場合も、その都度お金がかかります。このように空母は艦載機に多額を要することもあり。平時の日本空母は予算不足から、実際には航空機を定数以下しか搭載していませんでした。

 ちなみに平時であっても、機体の寿命は1年程度といわれ、空母の艦上戦闘機に至っては、わずか100時間程度の飛行で寿命を迎えます。この「自然消耗」は馬鹿にできません。例えば日本海軍の陸上攻撃機は計3713機製造されましたが、使い古されて廃却された機体は2264機で、撃墜された1261機より多いのです。航空機は「製造した数=戦力」ではないからこそ、航空隊は年度ごとに部隊の定数分の航空機補充予算が組まれているのです。

 もちろん、戦闘での消耗も馬鹿になりません。例えば、初めての空母戦である珊瑚海海戦で、日本側は142機の艦載機を保有していましたが、全体の68%である97機を失っています。仮に大和型の代わりに翔鶴型を建造しても、艦載機補充は困難と思えます。

 大和型建造時に「近いうちに世界大戦が起こる」と予見する人は少なかったでしょう。建造を秘密にしたことで抑止力としては機能しませんでしたが「予算がかかりにくい巨大戦艦を建造」した日本海軍の発想は妥当と思える次第です。

【了】

【写真】呉で艤装中の戦艦「大和」

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

8件のコメント

  1. 実際に有効に使えなかったのだから、やはりコスパ悪かったと思います。

    航空機の生産が出来たかは別としてもミッドウェーの様相を考えたら、翔鶴型があと2隻もあったら、もっと戦争の行方は変わったものになったように思います。

  2. ランニングコストで航空機は触れていますが戦艦には触れていません。特に主砲の砲身寿命のところ。射てば消耗します。予備がなければハリボテです。また、砲身と弾薬を作製する機械、前進拠点まで予備砲身と弾薬を運搬する専用船舶。空母の運用も上げて述べるなら戦艦も同様に述べるべきだったと思います。

    ただ、建造のみを考えると工程数は翔鶴より少なかったので費用は良かった(トン数対比は…?)と考えられます。

    結局のところ「大和型は無駄であった」は後付け理論ですが一部にあがる金剛型と同様に使用したらまた違う論争になったかもしれません

  3. 無駄遣いを防ぎたいのなら、戦争をしないことだ。 

    • それを言っちゃあ元も子もないよ

    • あちらさんが「する」と決断したら逃げ切れないものな、そんな状況で「しない」を貫けば一方的に虐殺(非戦闘員含む)されることが分かりきっているし。

  4. 海軍が軽視していたレーダーなどの科学技術をもっと重視していれば結果は少しは変わっていたのではないだろうか

  5. 真珠湾で戦艦から空母に主役を変えてしまうような攻撃なんてしなければコスパが悪いなんて言われなかった

  6. 1t当たりの建造単価のみでコスパ語るなら、A380は787やA350を上回る最もコスパの良い旅客機になる。

    座席あたりの燃費で見てもA380は、A330と777より燃費が良い。

    つまりA380は787A350より安くて777A330より燃費の良い最高の旅客機、とかいうクソガバガバ理論。

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