なぜ? 空自F-15改修計画が暗礁に 予算膨らみすぎ 中断も示唆…やらないとどうなるか

アメリカの要求で当初見積もりの3倍に そもそもどんな改修を?

 防衛省が当初構想していたF-15Jの能力向上改修計画は、ボーイングがアメリカ空軍のF-15Cに対して提案していた能力向上計画「F-15C 2040」と同様、敵の戦闘機のレーダーやミサイルを電波で妨害する新型の電子戦システムの搭載と、制空戦闘能力を強化するための空対空ミサイルの搭載数増加、この2点に重きを置いていたようです。

 しかし、現中期防衛力整備計画に導入方針が盛り込まれた、空中発射型巡航ミサイル「JASSM-ER」(Joint-Air-to-Surface-Missile-Extended Range)と、長距離対艦ミサイル「LRASM」(Long Range Anti-Ship-Missile)の搭載母機としてF-15Jに白羽の矢が立ったことから、F-15Jの能力向上計画は当初の想定よりも大がかりなものになりました。

 防衛省はF-15Jのアップデートにあたり必要となる設計費や、改修作業に用いるための施設などを整備するための初期費用として、2019年度と2020年度に契約ベースで802億円を計上します。

 しかし、アメリカ側から数回に渡って初期費用の上積みを求められた結果、その費用は膨張し、4月12日に行われた参議院決算委員会に出席した岸 信夫防衛大臣の説明では、2020年末の時点で当初見積もりの3倍近くにまで増加したといいます。

Large 210429 kaishu 02

拡大画像

F-15Jへの搭載が計画されている長距離対艦ミサイル「LRASM」(画像:アメリカ海軍)。

 防衛省の土本英樹整備計画局長は4月12日の参議院決算委員会で、初度費が高騰した理由は、「電子戦装置とレーダーに関する部品が枯渇していることと、ソフトウェアの改修が必要となったため」と述べています。

 しかしF-15の能力向上計画で導入が検討されている電子戦装置とレーダーは、アメリカ空軍が導入するF-15の最新型「F-15EX」と共通のものであるため、部品の枯渇は考えにくいと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は推察するため、防衛省はより詳細な説明を行うべきだと考えます。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

2件のコメント

  1. そろそろ、アメリカに本気でキレた方がいい。

  2. これ、予算よりも資材の枯渇が大問題なんじゃないですか? 
    自動車メーカーで話題になっている「TSMCが出荷を減らしている影響で車載チップがひっ迫し欧米および日韓で操業が滞っている」現象と軌を一にしているように思えます。