エンジン4発お尻に全集中! 不遇の超ユニーク機「VC-10」なぜそのカタチに? 軍事で生き長らえ

いまや少数派となりつつあるエンジン4基の「四発機」。基本的にこれらの機体のエンジンは主翼下についているなか、あえて胴体後部にすべてのエンジンをつけたのが英国の「VC-10」です。このようになったのはなぜでしょうか。

不遇のVC-10に拾う神あり!

 ここで、VC-10の命運は尽きたかに見えましたが、別の分野で、活躍の場がほんの少しだけ広がることになります。イギリス空軍がこのモデルを、空中給油機タンカーとして発注してくれたのです。

 これは、VC-10のエンジン配置が有利に働いたことも一因です。主翼にエンジンが無いことから、主翼に給油用の受口部を取り付けでも火災の危険性が少なく、給油を受ける機体にとっても燃料の補給が受けやすい形だったのです。

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イギリス空軍のVC-10空中給油機(画像:Airwolfhound[CC BY-SA2.0〈https://bit.ly/3w7kSsI〉])。

 VC-10の給油母機型は、民間機からも改修されて機数を増やし、航空路線から引退した後も同軍の縁の下の力持ちとして働き、何度か極東エリアにも飛来しました。旅客型の運用は比較的短い活躍期間で終わってしまったものの、給油母機型は、2013(平成25)年まで活躍しています。

 ちなみに、旧ソ連時代にイリューシン設計局が、Il-62というエンジンを胴体後部に4機搭載した、なんともVC-10にそっくりなジェット旅客機を開発しており、これを、アエロフロート航空が日本線へ投入していました。独特の甲高いエンジン音を響かせて、黒煙を引いて離着陸する姿は、力強く見えた記憶があります。筆者はVC-10の現役時代を見ることができなかったのが、なんとも残念です。

【了】

【瓜二つ】「VC-10」と因縁あり? あまりにそっくりなイリューシンIL-62

Writer:

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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