脱炭素の答えは水素? 船の水素エンジン開発で新会社設立へ 川重・ヤンマー・J-ENG

川崎重工・ヤンマー・ジャパンエンジンの3社が船舶用水素エンジンを開発する新会社の設立を発表。将来の主流となる、炭素を含まない燃料の最適な物質として、水素に答えを見いだしました。

炭素含まない物質 アンモニアよりも水素有利か

 川崎重工、ヤンマー、ジャパンエンジンコーポレーション(J-ENG)の3社は2021年5月18日(火)、船舶用の水素エンジン開発を担う新会社を設立すると、日本財団が開催した「ゼロエミッション船シンポジウム」の場にて明らかにしました。

 J-ENGの川島 健社長によると、社名は「HyENG(ハイエンジ)株式会社」になるとのこと。3社は4月に水素燃料エンジンの共同開発へ向けたコンソーシアムを結成し、2025年頃の市場投入を目指すと発表したばかりですが、この新会社が、水素燃料エンジン開発の中心的な役割を担うということです。

 さらに、水素供給設備を含めた推進システムのインテグレーションを開発し、その実証のための陸上設備を兵庫県明石市に設置予定であることも発表しました。

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川崎重工が開発したタンクを搭載した大型液化水素運搬船のイメージ(画像:川崎重工)。

 世界の物流を担う海運業界では、「脱炭素」「排出ガスゼロ(ゼロエミッション)」の流れが急速に加速。2050年には内航海運のゼロエミッションを達成するという目標が立てられています。現時点で、次の燃料としてLNG(液化天然ガス)船の実用化が進んでいますが、「その次」はバッテリーになるのか、はたまた、炭素を含まないアンモニアや水素になるのかが模索されています。

「2050年までにGHG(温室効果ガス)50%削減、今世紀中のできるだけ早い時期にゼロにするというIMO(国際海事機関)の目標を達成するには、2030年頃からゼロエミッション船が普及していかなければなりません」(J-ENG 川島社長)

 実船投入の開始、導入促進を考慮すると、2026年までに実機・実船による検証が完了している必要があるといい、かなりのスピード感を持って開発に取り組むということです。

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