高架化で3年運休ナゼ? 南海高師浜線 異例づくめのバス代行 地域変える可能性も

南海高師浜線が高架化工事のため約3年間の運休に入り、代行バスの運行が開始されました。試行錯誤が窺える異例づくしのバス運行と、容易にバス転換できない一因でもある「路線バス空白地帯」の現地、どうなっているのでしょうか。

試行錯誤の跡が伺える代行バス運行 なぜこうなった?

 加えて、代行バスのダイヤも特徴的です。平日朝7時台の羽衣方面へのバスは1時間あたり8本と、鉄道よりはるかに多い数が運行されています。しかしその内容は「2分間隔を空けて2本発車」を十数分ごとに繰り返す、実質的に続行運転(2号車以降の運転)の形態で、さらに平日朝には伽羅橋(北)発の区間便や2台運行の便まで設定されています。これは、途中駅の伽羅橋から乗車しやすくする工夫といえるでしょう。

 ここまでの準備をしたうえでの、3年にわたる鉄道運休とバス代行。なぜこのような形態をとるに至ったのでしょうか。

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羽衣駅のバス乗り場側にある「乗車駅証明書」発行機。定期外利用の場合はここで券をとって降りる駅(停留所)で清算する(宮武和多哉撮影)。

 南海本線の連続立体交差(高架化)事業と一体になった高師浜線の同事業も、当初は営業運転を続けながらの工事が行われる予定でした。しかし高師浜線の場合は、全面運休によって工期を5年から3年に短縮できることのほか、周辺道路が狭く、仮線の設置や特殊車両を進入させるスペースが線路脇にないなどの事情もあり、2018年には南海電鉄と高石市のあいだで全面運休・バス代行の合意に至りました。

 なお高師浜線が旧国道26号をまたぐ末端部0.5kmについては、1970(昭和45)年に高架化が完成しており、今回の高架化工事は、羽衣駅からその既存の高架へ接続する部分の建設が大半の作業となります。しかしその行程は、まず南海本線側を高架化し、その高架上から高師浜線への分岐をつくる大がかりなもので、南海本線・高師浜線ともに沿線の街の形が大きく変わりそうです。

 ただ、高師浜線の近年の輸送実績は1日1700人を割り、2011(平成23)年に南海電鉄から高石市へ支援を求める書面が送られるなど、厳しい局面にあります。高石市では高師浜線の乗降客数「1万人」の確保を掲げ掲げていましたが、高師浜に臨海部方面への企業送迎バスターミナルを設置する計画も不調に終わり(現在は羽衣地区に設置)、「工場夜景PRのラッピング車両」など外部からの集客に頼っている状況でした。

 かといって、高師浜線を廃止してバスに全面移行するのも困難が伴います。なぜなら高石市は、旧国道で南海(当時は電鉄直営)が運行していた堺~泉大津方面のバス路線が昭和40年代後半に撤退して以降、他のバス路線とも大きく離れた「路線バス空白地帯」とも言える状態が長らく続いているからです。

【商店街ごと閉鎖された駅も】高師浜線のいまを写真で見る

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