高架化で3年運休ナゼ? 南海高師浜線 異例づくめのバス代行 地域変える可能性も

南海高師浜線が高架化工事のため約3年間の運休に入り、代行バスの運行が開始されました。試行錯誤が窺える異例づくしのバス運行と、容易にバス転換できない一因でもある「路線バス空白地帯」の現地、どうなっているのでしょうか。

代行バスは「いままでの移動を見直せるチャンス」に?

 今回の代行バスも、数km離れた南海バスの拠点(堺営業所)から送り込まれているほか、沿道にはバスベイ(乗降時にバスを退避させるスペース)などの設備もありません。鉄道の置き換えができるほどの路線を整備するとなると、まさに「イチから」となりそうです。加えて、旧国道26号は朝晩の混雑が激しく、高師浜駅などから南海本線の駅まで徒歩などで向かうにしても、この旧国道の横断がネックとなり想像以上に時間がかかります。

 そもそも高師浜線は大正時代、高級住宅街と大規模な海水浴場へのアクセス路線として開業しました。当時はほぼ全便が難波へ直通していたそうですが、南海本線が大阪市街へ通じる「タテ(南北)」の移動を担うのに対し、高師浜線は「ヨコ」を担い、いまでは全体の3分の2強を定期客が占める通勤・通学路線となっています。

 そのような路線を3年運休してのバス代行ですが、現在、旧国道26号沿いには高層マンションや新しい分譲区画が目立ち、代行バスが停車する伽羅橋(北)停留所は誘導員がひっきりなしに動くほどの賑わいを見せていました。代行バスは、これまでにない需要を掘り起こせる可能性もあるのかもしれません。

Large 20210604 01
高師浜線で運用されていた車両。改造前は南海22000系(ズームカー)として高野線で運用されていた(宮武和多哉撮影)。

 このほか、市が運行し高齢者などに限って利用できる「福祉バス・らくらく号」は、増車・増便がなされるなど、他都市と比べても利用水準が高くなっています。誰でも利用できるコミュニティバスなどの検討には至っていないものの、いま高師浜線が担っている都心通勤の「ヨコ移動」とは別に、病院や図書館・お買い物などの身近な「ヨコ移動」も同時に求められているのではないでしょうか。

 ちなみに、大規模な工事により鉄道を長期運休した例は、中部国際空港への連絡線建設にともなう高架化工事で常滑~榎戸間を2年近くバスで代行した名鉄常滑線や、路面電車から地下を走る普通鉄道へ移行するため、8年間もバス代行が続いた東急玉川線→新玉川線(現・田園都市線)などの例があります。

【了】

【商店街ごと閉鎖された駅も】高師浜線のいまを写真で見る

Writer:

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  2. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  3. 「知らなかった!」SNSで話題に 高速道路の“2つ並んだ赤い三角コーン”、実は超重要な「ある合図」だった! NEXCO公式が投稿
  4. 神奈川県警の“バイクは自転車レーン走るな”投稿にツッコミ殺到! 「自転車にも車にもバイクにも迷惑です」…何が問題に?
  5. 史上最大の軍艦より135mもデカい!? 旧海軍「大和」を凌ぐ『エースコンバット8』の新ボス「陸上戦艦」の衝撃スペックとは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号