遭遇率0.03%!飛行機の「離陸後急停止」 遭遇機はその後どう動く? 管制官の視点から
飛行機はごくまれに、離陸滑走を開始したのちに、急停止することがあります。この機はその後、どうなるのでしょうか。確率にして0.03%の事態に遭遇した機体の「その後」を、航空管制官の立場から見ていきます。
「アボートテイクオフ」や「RTO」と呼ばれる離陸中止
国の統計によれば、日本で最も「交通量」が多い羽田空港の一日の着陸回数は、2019年で平均628回です。ほとんどの飛行機が折り返して離陸するので、離着陸をあわせると1200回を超える計算です。
そうしたなか、ごく稀ではあるものの、離陸中に急停止するケースも起こります。「アボートテイクオフ」や「RTO(リジェクトテイクオフ)」といいい、ボーイングが公開している統計によるとその確率は3000回に1回、つまり0.03%だとか。筆者(タワーマン、元航空管制官)の体感からすると、一年に一回遭遇するかどうかのレアケースです。
理由は出発時のセッティングミス、エンジンやフラップなどの故障を知らせるインディケーターの表示が出た、といったところが多いのですが、なかには滑走路に入っていざ離陸という時に、カンパニーレディオ(旅客機の社内無線)で手荷物の搭載忘れに気がついたため急遽ターミナルに戻るよう、航空会社側から指示があったため中断した、なんてハナシもあります。
離陸に失敗した飛行機はその後、どうなるでしょう。このあとの航空機の動きを管制官の視点から見ていきます。
航空管制官は当該機に対し、まず状況確認を行います。たとえば「離陸を止めた理由」「離陸準備までどれくらい時間が必要か」「もう一度離陸をやり直すか、もしくはターミナルに帰るか」「どこか適当な場所でトラブル解決のため待ちたいか」など、離陸を取りやめた経緯や意向をパイロットに質問します。といってもこのような状況、コックピット内は大忙し。簡潔にテキパキと聞くことを心がけ、的外れな質問は厳禁です。
ひととおり状況確認ののち、旅客機は次の行動を取りますが、それは離陸を中止したときの状況により異なってきます。
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