夜の高速道路にあふれるトラック どうしてこうなった? 駐車マス増も解決ならず

PAは終日、トラックの駐車場に

 あまりにもトラックが密集しているため、まるで出口をなくして詰まってしまったのではないか、と錯覚してしまうほど、圧倒的に駐車場所が不足していると感じます。背景には何があるのでしょうか。

 トラックがPA/SAにあふれるのは、深夜割引の割引が適用されるために時間調整しているのだ、と言われてきました。通常料金の30%割引にするためには、深夜0時~4時のいずれかの時間に高速道路を利用していなければなりません。しかし、あるPAの飲食店の従業員は、駐車の傾向をこう話します。

「車両は夕方から増えてきて、割引時間帯になっても減りません。落ち着いてくるのは明け方でしょうか」

 これを確かめるために、昼間にも走りました。不要不急の外出抑制のため乗用車が少ない影響もあるのかもしれませんが、昼間もPAに駐車する車両のほとんどはトラックでした。この記事で「PA/SA」と、PAを先に記載したのも、駐車するトラックにとってはPAがより身近だからです。

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「通路駐車禁止」の巨大看板も立てられている。取材当時、このエリアは駐車スペースを増やす工事が進められていた(中島みなみ撮影)。

 駐車場不足は「働き方改革」も影響している、と言われています。ドライバーの労働時間は運転時だけでなく、出庫から入庫まですべての拘束時間を短縮し、十分な休息時間を確実に取得することが厳しく求められています。とはいえ、職業ドライバーの多くは休息場所を自前で確保することが不可能に近い現実も。そのようななか、高速道路のPA/SAはシャワー施設などが整備されており、代表的な休息施設として機能しています。

 トラック輸送が日本の物流を支えていることは揺るぎない事実ですが、それにしても2020年、2021年と高速道路の利用総数が減少、加えて観光の貸切バスなどがほとんど走っていない状況でもトラックがPA/SAにあふれていることは、コロナ禍前の日常を社会が取り戻そうとする上で大きな課題になりそうです。

【了】

【まるでトラック山脈】深夜のPA/SAの状況を写真で見る

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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コメント

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4件のコメント

  1. 夜中は乗用車スペースもトラックで満杯ですね、仕方なく障害者用のスペースに駐車しました。トラックドライバーさんが悪いわけではなく事業審査、認可を御意見箱程度の許可制に堕落させた国土交通省の埋めた地雷ですね。

  2. 深夜割引を設けたから、今まで高速降りた先で休憩取ってたトラックが、深夜帯超えるまで高速のPA/SAに留まるようになったからでしょ。
    1日通して通行料下げるなり、深夜帯前に降りても割引が適用される高速外の施設設けるとかすれば分散されると思う。

  3. どこで降りても同じ料金に設定すれば 下に降りてトラックスペースがある施設で休息して、また高速に乗ればなんの問題も無いわけで 地方の飲食や休憩施設が潤って 活性化されること間違いなし何ですけどね。昔は国道沿いにドライブインが盛んに盛り上がっていたのですが 今は閑散として廃業している所が多数です。
    深夜割・長距離割の途中下車でも同じにカウントできるように早急に改善を求めます。
    現在道の駅で3時間まで休憩OKがありますが 4時間以上でないと休息にならないの知ってます?ってくらいお粗末ですね。
    PA・SAの商業施設の売り上げの利権を得たい 金の事しか考えてないネクスコ・役人・政治家の考えている事は駐車スペースが無いことなど考えてもいませんよ。

  4. 理由は色々ある。元々は深夜帯に走るトラックは長距離輸送で国道などの下道利用が主だったが、燃料価格の高騰と重なる形でのETC割引の開始。それにより、燃費と高速代とドライバー負担を考慮する様になり高速利用が急増した。また、元々の長距離ドライバーの中には、単身者も多く、運賃下落に給料激減の環境で、週に一度帰るか帰らないかの部屋に家賃を払うよりも、食費にと部屋を返し、トラックの中で生活し、コインランドリーやスーパー銭湯を利用する人も多い。ここに、昨今の働き方改革による時短! これが拍車をかけ現在の状況に繋がっている。