複雑怪奇! 同じ形式なのに4種類 東武鉄道20400型の謎
東武鉄道20400型という車両をご存知でしょうか? 東武日光線の南栗橋から東武日光方面や東武宇都宮線で走っている車両で、地下鉄日比谷線に乗り入れていた車両を改造したものです。20400型は見た目の違いで4種類あります。この違いはなぜ起きたのでしょうか?
この記事の目次
・もともと種類が多い東武20000系列
・20400型への改造
・4種類ある20400型
・見た目が揃った20410番台
・20410番台と20420番台の違い
・元5扉車が先頭に付く20430番台
・中間車に元5扉車が付く20440番台
・改造が進む20400型
・残された車両を譲渡?
【画像枚数】全15枚
もともと種類が多い東武20000系列
東武鉄道日光線の南栗橋から東武日光方面や東武宇都宮線で走っている20400型電車。かつて営団地下鉄(現・東京メトロ)日比谷線に乗り入れていた車両を改造したものですが、20400型は見た目の違いで4種類あります。いったいなぜ4種類もあるのでしょうか?
東武鉄道の20400型は地下鉄日比谷線直通用車両だった20000系列から改造されました。この一族は1988(昭和63)年に登場した20000型をはじめ、1992(平成4)年の登場で5扉車を連結した20050型、1996(平成8)年の登場で全車両が3扉に戻った20070型の3形式がありました。
20000型は8両編成13本が製造されたほか、20050型は8両編成8本、20070型は8両編成3本が製造されました。合計で24編成ありましたが、これは20000系列の後継車両となる70000型(18本)と70090型(6本)の編成数と同じなのです。
20050型と20070型は20000型の改良型で、20000型はすべての車両が3扉で揃っていましたが、20050型では8両編成中の両端2両ずつが5扉車として作られました。乗り入れ先の地下鉄日比谷線では、ホームの両端に改札口がある駅が多く、両端の車両に混雑が集中していたためです。
今でこそ、地下鉄日比谷線と地下鉄半蔵門線との列車が走っている東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)の系統ですが、20000型が登場した頃は地下鉄半蔵門線とは接続していませんでした。都心ルートの主体だった地下鉄日比谷線に混雑が集中していたので、5扉の車両を導入して列車の運行を円滑に行えるようにしていたのです。
さて、20050型に続いて作られた20070型では、すべての車両が3扉に戻っています。これは、20050型が必要となる数が揃ったためです。20050型はラッシュのピークに当たる時間帯に集中して使用され、それ以外では20000型や20070型を使用するという考えでした。20050型では5扉とした分、座席の数が減ってしまいます。ラッシュのピーク以外は座席数の多い車両を使うことで、多くの人に座ってもらえるようにしていたのかもしれません。
20000型の増備でも良かったようにも見えますが、20050型ではVVVFインバータを採用するなど、走行機器などにも改良を加えています。20070型では20050型の走行機器を継承しているのです。
20400型への改造
さて、20400型の改造では、リニューアルやワンマン運転の改造が施されています。外観では車体色が一新され、ロイヤルマルーンのラインから紺色と黄色のラインの組み合わせに変更されました。このほか、パンタグラフはシングルアームパンタグラフに統一の上、2基に増設されています。また、前面と側面に付く行先表示器も交換され、セレクトカラー方式のLEDとなって「ワンマン」の表示が緑地で表現されています。さらに、ワンマン運転区間の拡大で、後の改造車両では車体側面に完全確認用のカメラも設置されました。
残り3207文字
この続きは有料会員登録をすると読むことができます。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。