旅客機を「最期の地」へ飛ばすパイロット、心境は? ANA主力機整理の裏側「まだ飛べた」
パイロットにとっても特別な「モハーヴェ」
ANAのボーイング777-300ERの退役フェリーを担当したパイロットたちのなかには、寂しさとともに、「モハーヴェに懐かしさを感じる」といった感想も述べた人もいます。
「モハーヴェのすぐ横にベーカーズフィールドというところがあるのですが、ここで私たちは訓練をしていました。初めてソロフライト(教官の同乗なく飛ぶ)もここで、ある意味”原点”のようなところです。20年以上前に訓練をした空港の上を通過して、モハーヴェに降りるのは、『私たちの原点に飛行機を返しに行く』といった思いもあります」(JA779Aの退役フェリーを担当したパイロット)
「小さな飛行機を中心に発着するモハーヴェ空港は傾きも強く、ほとんど目視で飛びます。そのため、フェリーフライトでは訓練生時代を思い出し、しみじみすることがあります。またここは、山と軍事エリアに挟まれていることから飛べるエリアも狭いので、ある意味特別な空港でもあります。そのことからフライト前に、シミュレーターでの訓練も行いました」(JA780Aの退役フェリーを担当したパイロット)
一方で、取材したパイロット全員が口を揃えたのは、「777-300ERは素晴らしい飛行機だった」ということでした。
「777-300ERはとにかくかわいい飛行機なんですよ。私も一番好きな機体で、エンジンも素晴らしいです」(JA779Aの退役フェリーを担当したパイロット)
「昔『ジャンボジェット』ことボーイング747にも乗っていましたが、777-300ERは双発エンジンなのに、(4発エンジンの)『ジャンボ』でできたことがすべてできてしまって、びっくりした記憶があります。最高の飛行機です」(JA780Aの退役フェリーを担当したパイロット)
「777-300ERは横風に非常に強く、台風のときにも舵がききやすく、安定感が非常にある飛行機でした」(JA780Aの退役フェリーを担当したパイロット)
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なお、ANAでは、機数こそ減ったものの、今後も777-300ERの運航自体は続けられます。JA780Aの退役フェリーを担当したパイロットのひとりは、同機のファンに対し「私が一番の777シリーズのファンだと思いますが、これからも運航は続けられるので、ファンでいてくださるとうれしいです」と話します。
【了】
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