実現なるか「ラウンド・アバウトみたいな円形滑走路」何がメリット? 海外で研究中

滑走路設置条件から見る「円形滑走路」

 滑走路の配置を決める際、大切なポイントが方角です。設置想定地域の年間の風向きは必ず調査して、滑走路の方向を決定します。原則として、飛行機は向かい風の状態で離着陸するからです。

 飛行機が空中で浮かんでいるためには、空気との相対速度が重要です。離陸するには、たとえ自動車などで使う「対地速度」が速くても、必要な空気との相対速度(対気速度)が一定に達しなければ離陸できません、このとき最も有利なのは、正面から風を受けることなのです。もちろん、風が後ろから吹いている背風という状態でも、旅客機は運航しなければならない場合がありますが、背風のときには、より長く滑走路を走り、よりスピードを上げて浮き上がらなければいけません。

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上空から見た羽田空港(画像:国土交通省 AIS JAPAN)。

 前出したオランダの「円形滑走路」の計画は、設置スペースが少なくて済むだけでなく、風がどんな方向に吹いていても効率的な方角から着陸できること、また、離陸後に航空路に乗るための旋回などが必要なくなることで、エコな運航や時短を実現できるとうたっています。

 一方で、これを実現するには、課題も考えられるでしょう。

 まず、航空管制の課題があります。旅客機は原則としてフライトの最初から最後までのほとんどすべての場面において、管制官の指示のもと動きます。離陸すると、管制官から目的地の近くまで飛行ルートと飛行高度を指示され、目的の空港に近づくと、設定された着陸方式に従って、管制官の指示を受けながら空港に着陸します。その最大の目的は、航空機の安全な運航を常に維持するためです。もちろん、パイロットが管制官に要望を出し、調整できる可能性がありますが、これは周りに他機がいないなど、限られた条件下での話です。

 空港からの出発方法はSID(標準計器出発方式)、着陸方法はSTAR(標準計器到着方式)という決まりが、空港ごとに定められています。その内容は印刷物としてまとめられ、誰でも見ることができますが、これがパイロット、航空管制官といった飛行機をコントロールする方々にとってのルールブックです。滑走路が円形だと、その経路がほぼ無限に広がってしまうことになります。安全運航をいつでも保持できるという観点からすれば、選択肢が多すぎることは、かえって混乱が生じるおそれがあります。いまの直線の方が良いといえるのかもしれません。

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コメント

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4件のコメント

  1. 実施問題、何度辺りまで操縦桿(ハンドル)を切って離陸、着陸ができるかだろうな。
    ほぼ直線でないと浮力のバランスが崩れて飛ばないとなると途方な面積が必要だろうし、そうなると”普通の滑走路を増やせばいいんじゃない?”というオチになるのでは?

  2. こんな滑走路を容認できるパイロットなんかいるの?ゲームですら直線じゃないとこへの着陸なんかしたくないのに
    水平で平坦なところに着地するのと傾斜して婉曲してるとこに着地するのは遥かに難易度が違うと思うんだけど

  3. コースアウト!前脚折損!その空港は利用したくない。

  4. ただの円形だと着陸に難がありそうだけど、円の接線に直線の短い誘導用の滑走路を付け足せば、案外うまくいくかもしれない。
    風向きを考えて、45度毎に8本付け足せば、滑走路番号を付けることが可能で、着陸便を誘導しやすくなるだろうと思うな。場合によっては、誘導灯だけでもいけそう。