大和以前の“世界最大の戦艦”一瞬で沈んだワケ 大英帝国の象徴だった「フッド」

世界最大の戦艦である旧日本海軍の大和型。しかし第2次大戦が始まる前、1930年代前半まで世界最大だったのはイギリス海軍の「フッド」でした。イギリスの象徴でもあった「フッド」が生まれた経緯と、一瞬にして沈んだ理由を探ります。

「世界でもっとも美しい軍艦」の誕生

 ところが、第1次世界大戦における最大の艦隊決戦となったユトランド沖海戦では、「インヴィンシブル」「インディファデガブル」「クイーン・メリー」というイギリス巡洋戦艦3隻が一挙に轟沈してしまいます。原因は、主砲の発射速度を上げるべく、弾火薬庫の防火扉を開放したまま交戦していたのではないかといった運用上の不手際もありましたが、それに加えて、「装甲防御の限定」という脆弱性の弊害が表面化したものでした。

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1924年時のイギリス巡洋戦艦「フッド」。当時世界最大の軍艦で、旧日本海軍の戦艦「長門」「陸奥」よりも大きかった(画像:アメリカ海軍)

 当時、ドイツ海軍は強力な巡洋戦艦であるマッケンゼン級4隻の建造に着手しており、イギリス海軍も、これに対抗すべくフッド級巡洋戦艦4隻の建造を進めます。

 ところが、1番艦「フッド」が起工される約3か月前に前述のユトランド沖海戦が起こったため、急きょ、防御力不足を始めとした戦訓を同艦に反映させることに。ただ、対抗相手として想定していたドイツのマッケンゼン級巡洋戦艦は、第1次世界大戦中には就役しないと判断されたことで、結果、本級は起工済みであった「フッド」1艦のみの建造にとどめられ、2番艦から4番艦までの3隻はキャンセルされてしまったのです。

 かくして、装甲防御力を中心として設計に手が加えられ、巡洋戦艦というよりも“高速戦艦”とでもいうべき陣容となった「フッド」は、第1次世界大戦後の1920(大正9)年5月15日に就役しました。

 当初、約3万6000tの排水量で設計されていた「フッド」でしたが、設計変更の結果、完成時には全長約262m、排水量約4万2600tという空前の巨艦に生まれ変わっていました。そのため、のちに「運命の好敵手」となるドイツ戦艦「ビスマルク」が完成するまで、「フッド」は世界最大の戦艦でした。

 世界的に名の通ったジェーン軍艦年鑑の編集者であるオスカー・パークスは、「フッド」を“世界でもっとも美しい軍艦”と評したといいます。巨艦であると同時に美しいシルエットを備えた同艦は、実戦こそ経験していませんが、戦間期のイギリスが誇る名艦として「マイティ・フッド(偉大なるフッド)」のあだ名で呼ばれたりもしました。

【写真】沈む直前の巡洋戦艦「フッド」の姿ほか

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コメント

3件のコメント

  1. 80年前……(ぼそっと)

    • ご指摘ありがとうございます。修正しました。

  2. 二度の世界大戦で轟沈した大型艦船の大半が、

    結局は自身の火薬庫の誘爆なんですよね、

    その攻撃力故に大量の弾薬を積む怖さ、

    表面装甲よりも火薬庫の安全対策こそ求められるべきだったという事実は意外と見過ごされてきた。

    合掌

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