陸自61式戦車 1度も戦わぬ一方で果たした役割とは 旧陸軍の「遺産」を繋げ未来へ

旧軍での技術の蓄積はいまに続く戦車開発へ

 結局、重量は35tとされ、装甲も砲塔114mm車体前面上部55mmとなります。実はこれでも、当時の米ソの主力戦車に比べると車体の正面装甲は薄いのですが、これは当時、国内の未成熟な戦車技術との兼ね合いで砲塔のみ装甲を分厚くしたためです。61式戦車の基本的な戦法が、ハルダウン(砲塔以外を隠し、車体を防御する戦術)を多用する待ち伏せ攻撃となっていたため、そうなったといわれています。

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2019年、ヨルダンの博物館へ貸与されることになり、横浜の大黒ふ頭で船積みされる61式戦車(画像:防衛装備庁)。

 ほかにも、試作段階では、足回りや変速機などで旧陸軍の四式中戦車を参考にした部分があり、1961(昭和36)年4月に制式採用された61式戦車は、アメリカの主力戦車を参考にしながらも、旧日本陸軍戦車の面影が残る車両となりました。

 なお性能的には、60年代のアメリカ、ドイツ、ソ連など各国の戦車と比べると、技術的に未熟な部分も多く、見劣りする性能だといわれていますが、断絶したと思われた日本の戦車技術の継承の役割を果たし、74式戦車など後の世界水準に追いつく、自衛隊戦車の礎となったのはたしかなはずです。

【了】

【写真】武田騎馬隊と戦い宮沢りえさんも乗った「角川61式戦車」

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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コメント

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1件のコメント

  1. 一発必中AI自爆ドローンにやられたらどんな戦車もたまりませんよ