交通違反切符の押印「任意です」国家公安委員長が周知のワケ そもそも何のため?

なぜいま周知を? 背景に河野太郎氏

 反則切符で印鑑を求められるのは、供述書の最後に異議のあるなしに関わらず、内容に間違いがないことを示すためです。社会通念上は、書面の内容を認める場合に押印しますが、違反を認めるから押す、認めないから押さない、という意味は反則切符にはありません。

 では、何のために押すのか、ということになります。

 これは違反者が反則金制度を利用して反則金を納付するか、家庭裁判所の交通裁判に移行するか、という判断が影響しています。

 棚橋氏はこうも言います。

「押印や指印を求めるのは、捜査書類に当たる箇所であるから、現在進めている刑事訴訟のIT化の中で、法務省と連携しつつ合理化のあり方を検討します」

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河野太郎行政改革担当相(中島みなみ撮影)。

 棚橋氏が押印や指印は任意であるということを話すきっかけになったのは、河野太郎行政改革相に寄せられた国民の声でした。免許証更新時の持参写真の在り方についても、ここで取り上げられました。さらに、今回の押印・指印とは別に昨年11月、河野担当相は行政手続きの押印不要を打ち出していました。

 今年9月にはデジタル庁が発足し、行政のデジタル化が加速します。アナログの押印は行政手続きとしても難しくなります。それでも押印や指印は、電子サインのような形で残るのでしょうか。

「IT化については、刑事手続き全般に関わる。押印・指印の問題は関連してくるので、その中で国民の理解が得られるようにしたい」(棚橋氏)

 取締りで違反を指摘されると、素直に応じられず、勢いにまかせて押印や指印を拒否することがあります。しかし、押すか押さないかはあなた次第。指摘された違反を冷静に振り返った結果で決めたいものです。

【了】

【知ってました?】違反切符の「色」の違い

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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コメント

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3件のコメント

  1. これを周知徹底させるのは国民ではなくて末端の警察官でしょ
    ロクに道交法すら諳んじることのできない阿呆交通課員の如何に多いことか

  2. なんか論点がズレてるな。
    押印を強要するのは署内手続き以降を簡単に済ませるため(そのため押印なしで持ち帰ると、仕事のできない奴と見られる面はある)。
    押印拒否は裁判で争うという意思表示でもあるのだが、そんなことも知らず行政手続きのはんこレス化の流れと勘違いしている愚民が多いから周知しなきゃいけなくなったんでしょ?
    本記事もその辺がわかりにくい。

  3. もともと交通違反は刑事手続きのもの。それを青切符自体は行政手続きのみで終わらせようというもの。否認するときはその限りでないし、記事自体が説明不足。
    何もわかってないのは、してはいけない違反を平気で犯す違反者の方だろ。