「キハ40ください」今後も増える? 各地で引退の国鉄気動車に熱視線 クラファン大盛況!

コロナ禍でも通勤客が増加? 北条鉄道の「一挙両得なお買い物」

 粟生駅(兵庫県小野市)と北条町駅(同・加西市)を結ぶ全長13.6kmの北条鉄道北条線は、1985(昭和59)年に国鉄北条線から第3セクター鉄道として転換・再スタートを切りました。片道20分少々で乗り通せるほど短い路線ですが、起点の粟生駅はJR加古川線や神戸電鉄粟生線が接続しており、播磨地方中部(中播磨)の西脇市や小野市中心部、海沿いの加古川市へも路線が延びるジャンクションとなっていることなどから、北条線も朝晩には通勤・通学客で賑わいます。

 しかし北条線は転換当初から、朝ラッシュ時ですら1時間1本という運行本数の少なさ、そして計3両しかない車両の少なさがネックになっていました。国鉄時代の合理化で列車交換(行き違い)設備が撤去されたことで、区間内を1編成しか運行できず、加西市や沿線利用者の長年の要望に応えたくても応えられない状態が続いていたのです。

 そのうち法華口(ほっけぐち)駅の交換設備は、新しい閉塞システムの開発による工費の大幅圧縮や国・県の補助もあり、2020年に再設置が実現、朝2便・夕方3便の大幅増便に踏み切ることができました。2020年度の輸送実績はコロナ禍の影響もあり約17%減少しているものの、通勤定期に限っては11%も増加するなど新ダイヤの効果は着々と見えています。しかし車両に関しては、トラブルの際に運行を維持できない状況に変わりはなく、同社ではかねてから「4台目」の購入を模索していました。

Large 210921 kiha 02

拡大画像

北条鉄道の車両。法華口駅で交換するフラワ2000-3号(左)とフラワ2000-2号(宮武和多哉撮影)。

 購入が予定されているキハ40形は通常時にも運用に就くため、「普段づかいの車両」の役割もこなし、かつクロスシート(対面型座席)の居住性や「五能線カラー」の希少価値を生かしてイベント列車などにも活用できるでしょう。

 とはいえ、北条鉄道の近辺に限って言えば、キハ40系は同じ兵庫県内でJR播但線の非電化区間(寺前~和田山)や山陰本線の豊岡以西で運用についているため、まだ「珍しい」と言える存在ではありません。しかしながら、そこにこそ、今回の車両購入が北条鉄道にとって二重・三重にもメリットがあるお買い物と言える理由があります。

【注目!】消された「右読み文字」の跡が残る北条鉄道の激レア駅名票

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

2件のコメント

  1. クラウドファンディング(その実、寄付と大差はない)で中古車両購入ならまだしも、検査費用をそれに頼るというのは、1回目は良くても2回目以降寄付が集まらないという事態になったら終了する。

  2. 水島臨海鉄道の気動車は新たに購入するものではありません。クラウドファンディングは、既に導入され運用に就いている車輌の補修を目的とするものです。キハ205に至っては既に同鉄道の運用から退いています。