「キハ40ください」今後も増える? 各地で引退の国鉄気動車に熱視線 クラファン大盛況!
各社も続くか?「懐かし車両」の購入
近年は北条鉄道同様に、懐かしい車両の購入・運行を目指したクラウドファンディングが活発です。キハ37形・38形気動車の購入を目的とした水島臨海鉄道(岡山県)や、キハ28形・キハ52形の修理資金確保を目的としたいすみ鉄道(千葉県)の取り組みが大きな話題を呼びました。
しかし、全国的に珍しくなった車両は、すでに部品や維持管理のノウハウが失われている場合も多く、購入後の課題も並大抵ではありません。一方で北条鉄道の場合は、キハ40系がまだまだ近隣で現役のため、当面のメンテナンスに困ることは少ないのではないでしょうか。とはいえ、将来的にはJR西日本も電気式ディーゼルカー(DEC100形など)の導入を計画しており、他地域と同様に「キハ40が珍しい」時代がいずれ来ると予想されます。
なお、懐かしい車両をめぐるクラウドファンディングの動きは各社とも引き続き活発で、前述の水島臨海鉄道も追加車両(キハ205)の購入を目指したプロジェクトが6日間で目標金額を達成するなど、支援の流れは続いています。一方で、想定ほど支援が集まらず目標へ届かないケースもちらほらと見受けられ、各プロジェクトのリーダーや事業者の発信力にかかる部分も大きいと言えそうです。
また、今後も全国で余剰が生まれるであろうキハ40系は、多くの第3セクターで主力となっている軽快型車両(LE-Car)よりかなり重量があり、線路の状況によっては導入できないケースも予想されます。
北条鉄道の購入計画は、このあと順調に進めば、2021年秋に車両の輸送が完了する見込み。運行に必要な検査・改修などのメンテナンスを経て、2022年3月には白地に青ラインの「五能線カラーのキハ40」が播磨の地を駆ける予定です。
【了】
※一部修正しました(9月24日9時19分)。
Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
クラウドファンディング(その実、寄付と大差はない)で中古車両購入ならまだしも、検査費用をそれに頼るというのは、1回目は良くても2回目以降寄付が集まらないという事態になったら終了する。
水島臨海鉄道の気動車は新たに購入するものではありません。クラウドファンディングは、既に導入され運用に就いている車輌の補修を目的とするものです。キハ205に至っては既に同鉄道の運用から退いています。