40年不変“荒野のベーシックカー”乗り味は ロシアSUV「ラーダ・ニーヴァ」いよいよ変化へ

「ラーダ・ニーヴァ」はなぜ、こんなに長寿?

 なぜ、ニーヴァがこんなに長く生産され続けられているのでしょうか。

 ロシアの郊外では、国道をちょっと外れると道のない荒地が多く、冬にはマイナス20度にもなる厳しい土地。そんな場所で、猟や釣り、仕事などに出掛けるのに走破性が高く、壊れてもなんとか自分で修理できるほど簡素で、安価な庶民の足――ニ―ヴァは、そうしたニーズがある“荒野のベーシックカー”なのです。

 聞くところによると、プーチン大統領も猟に出掛ける時に使っているといいます。しかし実際には、モスクワなど大都市圏でニーヴァが走っているのは、ほとんど見かけません。

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ロシアにて、同じく60年以上生産され続けている「UAZ(ワズ)2206」とともに(イシグロン撮影)。

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 このニーヴァ、実は日本でも買えるのです。東京・千駄ヶ谷の「ルパルナス」に取材したところ、このクルマのプリミティブな魅力に惹かれ、2010(平成22)年より200台以上も、ロシアからシベリア鉄道とフェリーで直輸入しているといいます。ルパルナスでの価格は、諸費用消費税オールイン乗り出し298万円~。

 ルパルナスでは納車前に、各部の点検、予防的調整、改良を施した上で、ユーザーに引き渡していますが、現代の新車といっても基本設計が古いため故障も少なくないといいます。しかも左ハンドルでトランスミッションもマニュアルしかないため、オーナーになるのは知識と覚悟が必要です。しかし、購入したオーナーの多くは、気がつけばニーヴァを難なく乗りこなす強者になっているようです。

 40年以上も続いたニーヴァにも、変革の時が近づいています。間もなく5ドアが生産終了、3ドアも2024年にフルモデルチェンジする予定なので、この稀有な存在の1台に乗りたいと思った方は、急いだほうがいいでしょう。

【了】

【写真で見る】「ラーダ・ニーヴァ」の内部&豊富なバリエーション

Writer: イシグロン(編集者)

雑誌やWebで、クルマ、映画、TV、トイ、模型などの記事を編集、執筆。ただし、ジャンルはかなり偏っております。マイカーは、ここのところほぼアメ車ばかり乗っています。好きな映画は『処刑ライダー』。

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