戦後初の国産4発飛行艇「PS-1」保存機が風前の灯 日本の航空技術の結晶は残るか?

日本は世界でも数少ない飛行艇を独自開発できる国です。現在の海上自衛隊US-2救難飛行艇を独自に造ることができたのは、太平洋戦争後、初めて国産開発したPS-1があったからこそ。しかし、そのPS-1の1機が国内から姿を消すかもしれません。

PS-1の運用思想とその終焉

 ただ、陸上運用の対潜哨戒機は洋上から目視または磁気探知(潜水艦がいる場所のみ微妙に地磁気がゆがむ)、あるいは使い捨ての音響測定器材「ソノブイ」の投下などで作戦を遂行するのが一般的でした。

 それに対してPS-1は、海面に直接降りられるため、着水後は胴体内部に収容した大型ソナー(水中音波探知機)を海中に下ろして、それで潜水艦を探知することが可能でした。当時は、磁気探知の精度がまだまだ低く、「ソノブイ」も性能的には発展途上で、なおかつ使い捨てとしてはあまりにも高コストなシロモノでした。

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海上自衛隊の岩国航空基地で現役運用されていたころのPS-1対潜哨戒飛行艇(画像:海上自衛隊)。

 ゆえに、直接海面に降りて搭載するソナーによって潜水艦を探し出すPS-1の方が高精度で、費用対効果にも優れているといった判断から開発されたのですが、技術発展は著しく、PS-1が本格運用を始めたころには、陸上哨戒機でも遜色なく潜水艦を探知できるまでに性能が向上していました。

 他方で、PS-1は海面に降りなければならないため、陸上機とは比べ物にならないほど操縦が難しく、機体に対する波や海水の影響も大きいことから事故率も高く、運用についても天候に左右されやすい飛行機でした。

 加えて、PS-1は車輪こそ装備しているものの、あくまでも水上から陸上へ上がるスロープ(自衛隊では“すべり”と呼称)を登り降りするためのもので、滑走路への離着陸は出来ないつくりとなっていたことから、運用可能な基地も限られていたのです。

 こうして、陸上発着の哨戒機に対する優位性が消え去り、デメリットばかりが目立つようになったことで、海上自衛隊も対潜哨戒機については、より高性能なP-3Cに一本化することを決定。PS-1は大量調達されることなく、1989(平成元)年に最後の機体も退役しています。

 ちなみに、当初の計画では2番目のPS-1飛行隊として「第32航空隊」を長崎県の大村航空基地に編成する予定であったものの、上記の理由などから構想のみで終わっています。

【写真】海上自衛隊のPS-1、US-1A、US-2を一挙見

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