なぜ? 津軽海峡の真ん中は日本じゃない 中露艦隊が通航しても文句をいえないワケ
特定海域は「国際海峡」なの?
今回の件について、もうひとつネット上や報道で見られた言説として、「津軽海峡は国際海峡である」というものがありますが、実はこれには補足が必要です。
そもそも「国際海峡」とは、国際航行に使用される海峡のことで、日本において、この意味における国際海峡としては先述した特定海域が該当する、というのが日本政府の立場です。
一方で、海洋に関するさまざまな規定などについて定める「UNCLOS(国連海洋法条約)」では、その第3部に「国際航行に使用されている海峡」という規定が設けられているのですが、日本の「特定海域」はここでいう「国際航行に使用されている海峡」に関する規定が適用されません。
というのも、UNCLOS第36条には「この部の規定は、国際航行に使用されている海峡であって、その海峡内に航行上及び水路上の特性において同様に便利な公海又は排他的経済水域の航路が存在するものについては、適用しない」と規定されているからです。ここでいう「国際航行に使用されている海峡」とは、公海または排他的経済水域同士を結ぶような海峡のことです。そして、その中央部分を公海としている特定海峡については、この部の規定が適用されないのです。
つまり、厳密にいうと、日本政府が定めたところの津軽海峡など5つの「特定海域」は、UNCLOSで規定されている「国際海峡」にはあたらないということになるのです。
敵味方識別機雷を敷設されれば、領海か否かに関わらず、戦時下の敵勢力艦船の航行は不可能なので、いくら平時に通過されても支障は無いでしょう