「胴体がやたら短いエアバスA320たち」なぜできた? 長くする定説を覆したA319&A318
エアバス社のベストセラー機「A320」ファミリーには、胴体延長タイプのほか、胴体短縮タイプ「A319」「A318」が存在します。国内航空会社での導入はありませんが、どういった狙いで開発されたのでしょうか。
標準型→胴体延長型はお約束だが…その逆!
日本、そして世界でも多くの航空会社が採用している、エアバス社のベストセラー旅客機「A320」ファミリー。この機は通常の「A320」をベースに、さまざまな派生型があります。代表的なのが、ANA(全日空)などで採用されている胴体延長タイプ「A321」でしょう。
旅客機の業界において、A320とA321のような、「通常タイプが出たのち、キャパシティの増大を図るべく胴体延長の派生型が出現する」というのは、いわば“お約束”といえる流れです。ただ、このA320の派生型には、日本国内の航空会社こそ採用がないものの「胴体短縮タイプ」が存在します。これがA319、A318です。
A319はA320と比べ約4m、A318はA320比で約6mの胴体短縮が図られています。そのため、日本人の目からこれらの機体を見ると、おもちゃの「チョロQ」感すらあります。これらの「短いA320」たちは、どのようにできたのでしょうか。
1970年代ごろから、アメリカ製のボーイング737や、ダグラスDC-9シリーズの短距離小型ジェット旅客機が飛び始めます。また、いわゆる航空自由化に伴い、将来的には多くの旅客機の需要が見込まれていた時代でもありました。ヨーロッパの航空機メーカーであるエアバス社では、1970年代後半から、この分野に殴り込むことを決めます。これが、シリーズの先祖的存在であるA320です。
A320は当時の常識を覆す革新的な旅客機として、1987(昭和62)年に初飛行します。たとえばコンピューターの運航システムへの大幅な導入、操縦ハンドルを無くしてサイド・スティックに変更する、本格的なグラス・コクピットの採用などです。
また胴体設計も、ライバル機であるボーイング737と異なり、脚が長く腰高なものに。ボーイング737は従来機の707、727と同じ胴体を引き継いで設計を簡易化したのに対し、エアバスA320は地面と主翼のクリアランス(距離)を確保したものとなっています。これは、効率向上の反面大型化しつつあったエンジンサイズに対応するほか、胴体延長も考慮に入れた設計だったと考えられます。
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