「胴体がやたら短いエアバスA320たち」なぜできた? 長くする定説を覆したA319&A318
短いA320たちはなぜできたのか
こうしてエアバスA320は短距離向けの150席クラスで、効率の良い双発ジェット旅客機として、ボーイング737と並ぶベストセラーモデルへ駆け上がります。つまりこの機は、運航会社にとって採算の取りやすい“儲かる飛行機”だったためです。そしてここから、A320の派生型がデビューすることになります。
最初の派生型は、胴体を7m近く延長し、より多くの旅客が乗れるようにしたA321。日本でもANAが1990年代に採用しました。一方で、旅客の少ない路線に対応するため、ひと回り小型の機体も開発することとします。これが、冒頭のA319です。さらにその後、より小さな路線への販路を求めて、100席クラスの旅客機として、さらに小型のA318が製造されました。
この傾向は、初期タイプから胴体延長を続けるボーイング737シリーズとは対極です。737は、100席クラスの初期タイプ737-100(約28m)、737-200(約30m)からスタートし、その後、150席規模の737-400(約36m)、737-800(約39m)など大型化で需要に対応し成長しました。これに対し、A320ファミリーは初期タイプのA320が150席規模と、ある程度のキャパシティがあったので、ダウンサイズでも、より広い需要の取り込みが狙えるという判断でしょう。
また、A320ファミリーはパイロットの免許なども共通にできるので、使用する航空会社にとっても、機種のサイズを需要に応じてかんたんに変えやすいというメリットもあると考えられます。現実はともかく、A318からA321を揃えてしまえば、100席~200席の市場を同じ乗員ですべてまかなえるわけです。
コメント