「胴体がやたら短いエアバスA320たち」なぜできた? 長くする定説を覆したA319&A318

短いA320たちはなぜできたのか

 ただ、このA319、A318の売れ行きはイマイチでした。これは、1990年代から、「リージョナル・ジェット」と呼ばれる、地方間を結ぶ短距離路線で100席クラスの容量を持つジェット旅客機を他社が開発しており、こちらのほうが機体費用も安く、運航経費も抑えられたためでしょう。ちなみに、この「リージョナル・ジェット」の開発競争には、我が国の三菱航空機も加わりましたが、順調とはいかなかったようです。

 一方で、たとえばエールフランスでは、これまでA319、A318を国内線に重用していました。2021年現在においても、同社の玄関口のひとつであるシャルル・ド・ゴール空港などではA320と同等によく見かける機体です。

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エアバスA319neo。A319については、neoと呼ばれる最新タイプが製造されている(画像:エアバス)。

 また、機体を短縮することにより機体重量が減った分、燃料を多く搭載でき、航続距離を延ばすことにつながり、ビジネスジェットとしての需要もあるようです。

 A320ファミリーは、長期にわたる生産が続くなか、エンジンやコンピューターシステムの発展に対応した新世代のシリーズも開発されています。「A320neo」そして「A321neo」などがこれです。ただ一方で「A318neo」などはいまのところ発表されていません。

 標準型、胴体延長型の活躍ばかりが取り沙汰されていますが、「チョロQみたいなA320」も今後活躍してほしいものです。

【了】

【短すぎるだろ!!】「A320」ファミリー最短「A318」の離陸など(6枚)

Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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