駅スタンプかと思ったら全て「郵便消印」! JR北海道とのハードル高めな壮大コラボなぜ
コミュニティスペースの役割も持つ郵便局
「旅行者にとって郵便局は非常に親和性が高い」と語るのは、小型印のデザインに協力した釧路市立博物館学芸員の石川孝織さん。「郵便局、特に過疎地域の郵便局は、高齢者を中心とした地域コミュニティの維持、セーフティネットの役割を果たすとともに、来訪者に対し、地域へのゲートウェイとして機能している」といいます。
旅行者として各地を訪ねても、駅が無人であったり商店が廃業していたりと、地元の方と触れ合うのが難しいなか、少なくない旅行者が地域の郵便局に立ち寄り「その土地の見どころ」や「おすすめの飲食店」を尋ねているそうです。さらに郵便局を訪ねた人たちが、地名や地域を記憶に残してくれる、あるいはSNSでの発信に対する期待も大きいとしています。
今回の企画は2021年7月から順次始まっており、前川さんによれば「郵便局に立ち寄った沿線地域住民の方々から、当時の思い出話が集まり、語り部が誕生している」とのこと。すでに沿線地域では「次なるイベント」への期待も高まっているようです。
ちなみに小型印は63円以上の切手やはがきのほか、手持ちのノートやイベントに合わせて各局で配布している記念台紙に所定の切手を貼れば押印してもらえます。でもせっかくなら「旅先からの便り」を出してみたいところですね。
また、指定7郵便局の小型印および7駅の「北の大地入場券」を局で配布されている専用台紙に集めると、150名に特製缶バッジがプレゼントされるキャンペーンも始まっています。多くの郵便局は平日のみの営業で、域外から網羅的にめぐろうとするとハードルがかなり高めですが、収集家の方はぜひチャレンジしてもよいのではないでしょうか。
【了】
Writer: 蜂谷あす美(旅の文筆家)
1988年、福井県出身。慶應義塾大学商学部卒業。出版社勤務を経て現在に至る。2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅と牛乳を中心とした随筆、紀行文で活躍。神奈川県在住。
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