続・関西の「狭隘路線バス」5選 住宅街に旧街道 細道で光る運転テク!

上り坂一直線! 最後で待ち受ける珍運用

 最後は「海と山」を結ぶ神戸らしい路線(?)です。

【神戸】山陽バス10系統:上り坂の「果て」折り返しで三角ターン

・運行区間:垂水東口~上千鳥
・うち狭隘区間:上千鳥周辺

 海岸線のほど近くにあるJR神戸線と山陽電鉄本線の垂水駅。山麓にびっしり広がる住宅街へ向かう数系統のバス路線が、駅東側のバスロータリー(垂水東口)から発着しています。そのなかでも千鳥団地方面に向かう山陽バス10系統は、一本道の上り坂をひたすら駆け上がる路線で、坂が行き止まりとなるT字路に終点となる上千鳥バス停が立っています。この先はバスが入れなさそうな山道と数軒の家があるのみで、まさに「行けるところまで行く」路線です。

 なお、上千鳥バス停には転回場がなく、常駐する誘導員の指示にしたがってT字路で「三角ターン」のようなオペレーションを取るのが特徴です。

 交差点に進入したバスは、まず右折してすぐ乗客を降ろします。ここで誘導員が車両の後ろに付き、誘導灯を回しながら20mほどバックしつつバスは停留場に進入。ここで垂水東口に向かう乗客を乗せ、T字路を右折して坂道を降りて行きます。1時間に2~3回はこの折り返しが行われますが、日差しを遮るものがないため、誘導員が滝のような汗をかいていたのが印象的でした。

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上千鳥バス停ではバックしながらバス停に進入する。誘導員さんが常駐している(宮武和多哉撮影)。

 上千鳥周辺は戦後まもなく宅地開発が急速に進んだ地域で、バスの運行開始は1953(昭和28)年と、山陽バスのなかでは古株に入る路線です。この頃は沿線にある神戸市立垂水小学校の児童数が、日本最多となる4300人(1951年)を記録したほど人口増が続いた時期で、交通の整備が急がれていました。この路線の300mほど東側には片側2車線の道路「垂水妙法寺線」が並行し、神戸市営地下鉄の学園都市駅方面へ向かう路線が発着する「向陽2丁目」バス停もありますが、両路線のあいだには歩くと汗だくになること必至の急勾配があることから、近くを並行する両路線とも乗客が多い理由が窺えます。

※ ※ ※

 今回紹介した兵庫県・大阪府のそれぞれの路線は「戦後の急速な開発」「歴史上の古道」「生活道路」など、それぞれ土地特有の事情を抱えた路線ばかりです。なかには地元の方の乗車がきわめて多い路線もありますので、混み合ってきたら席を譲りながら乗車するのが良いでしょう。

※誤字を修正しました(11/18 17:54)

【了】

【うっそバス通るの!?】関西の驚くべき狭隘・急坂バス5路線 写真で見る

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コメント

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2件のコメント

  1. 大阪シティバスの路線は12号系統で、12系統ではありません。
    修正をお願いします。

  2. うええ、高槻市営バスの写真の一枚に、維新にやられて落っこちた辻元さんのポスターが!