戦車の時代の「ラスト騎馬隊」結末は? イタリア騎兵団ヨーロッパ最後の乗馬突撃@ロシア

馬に乗って戦う騎兵は、第2次大戦では時代遅れとされましたが、そうした時代の中でも貧弱な装備を旺盛な士気で乗り越え、ロシア戦線で乗馬突撃を実施、見事勝利したイタリア軍部隊がありました。

劣勢からの大逆転 まさに有終の美!

 そしてついに、イタリア騎兵の本領を見せるときがきます。1942(昭和17)年8月23日、第3快速師団隷下の第3騎兵連隊「サヴォイア」700騎は、ドン河南岸イスブシェンスキー西方の高地に進出。しかし、対岸にはソ連軍の3個歩兵大隊約2000名も布陣しており、翌朝に騎兵斥候(偵察)隊は迫撃砲装備の敵陣地と遭遇しました。高地からの機関銃射撃と支援砲火で第一波を食い止めたものの、敵に包囲されつつあることを悟った連隊長ベットーニ大佐は命令を下します。

「騎兵隊前へ!」

 まず、下馬した第4騎兵中隊が機関銃の一斉射撃で正面の敵陣を引き付ける間に、乗馬した第2騎兵中隊が迂回してソ連軍部隊の右翼側面に回り込みます。そして、サーベルと連隊旗を手にした騎馬兵達は、「サヴォイア! サヴォイア!」と叫びながらソ連兵めがけて突撃。不意を突かれた敵兵らは、慌てて退却を始めました。

 これに乗じて第4騎兵中隊が前進すると再びソ連側から反撃が始まったので、それを見た第2騎兵中隊は再度右翼から左翼にかけて騎兵突撃を行い、ソ連兵を蹴散らしました。この2波による騎兵突撃により敵部隊は完全に戦意を失い、2個大隊が壊滅して残る1個大隊は敗走したのでした。

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ロシア戦線における第3騎兵連隊「サヴォイア」の上等兵。折り畳み式刺突銃剣が付いたカルカノ騎兵銃を持ち、肩から胸に騎兵用バンダリアを掛けて左腰に騎兵サーベルを下げている(吉川和篤作画)。

 ソ連軍の損害は、戦死150名、負傷300名、捕虜500名、野砲4門に迫撃砲10門、機関銃50挺を失うというものでした。一方、イタリア騎兵も戦死32名(内将校3名)、負傷53名と馬100頭を失っています。

 こうしてヨーロッパ戦線で成功した史上最後の騎兵突撃は幕を閉じました。奇しくもこの年は1692年の「サヴォイア」騎兵創設からちょうど250年目の年。それは機械化が進む近代戦で、かつて花形だった騎兵が栄光を取り戻した、束の間の奇跡のような瞬間だったと言えるのかもしれません。

【了】

※誤字を修正しました(12月12日12時20分)。

【圧巻!】戦車の時代のイタリア騎兵一斉進撃!(写真)

Writer:

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集」や「イタリアの中戦車・重戦車写真集 」、「イタリア軍写真集」など。

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