「災害対応にアシスト自転車」ってアリ? 内閣府 3.11後に導入の車両が大量廃棄 問われる意識
緊急用だけど…通勤自転車としても貸与
一方で、電動アシスト自転車購入は逆に「防災の備えにはならない」と問題点を指摘する声があります。関係者は話します。
「いつ起こるかわからない大規模災害時に備えて、ずっと充電をし続ける手間。発災時に充電できるのかという電源供給の備え。アシストが効かなければ、移動手段として使いづらい重量。アシスト自転車は平時に使う車両で、災害の移動手段には不向き」
緊急参集が必要な職員の宿舎は、内閣府から2、3kmの近距離にあります。徒歩でも30分あれば到着できる立地です。一等地なので通常タクシーは24時間、いつも走っています。
他の省庁の防災担当者は「東京を直撃するような災害では自転車だって使えないことが想定できる。それ以外の場合ならタクシーを使うこともできるはず」と話します。
これについて内閣府の担当者は「地下鉄が利用できない深夜、発災場所によっては道路渋滞などでタクシーが使えない場合は歩かなければならない」と訴えます。
2011年3月の東日本大震災では、東京都心でも発災時から公共交通が止まり、その影響で霞が関周辺の道路は、ほとんど動かなくなりました。災害時の自転車移動は、その経験から生まれたものですが、このアシスト自転車以外にも、内閣府は国会や他省庁への連絡移動のための自転車を別に購入しています。新しく購入された電動アシスト自転車は、どこに備えられているのでしょうか。
「自転車は千代田区内の公務員宿舎か、内閣府のどちらかに置いてあり、緊急時にすぐに使えるように、職員が通勤用にも使っている」(内閣府 防災担当)
大規模災害に緊急参集が必要なのは内閣府だけではありません。そもそも自費購入の通勤用自転車を使う。あるいは公費購入する場合も、がれきを走破でき、いざという時の空気抜けにも備えられるノーパンクタイヤを装着したアシストなし自転車という選択も。大きな工場などでの導入例もあります。
こうしたアシスト自転車は「対応が必要な職員50人に対して50台を貸与」(内閣府担当者)。これからも更新が予定されています。
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Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
どーして「捨てる」ことしか考えないのかなぁお役人は。