漫画やアニメで有名!? アメリカ生まれの異形の実験機「X-29」が初飛行-1984.12.14
12月14日は前進翼という異形の主翼を備えた実験機X-29が初飛行した日。翌年には超音速飛行にも成功するなど、飛行性能は満足できるレベルだったとも。ただ、戦闘機に求められる能力が変化したことで役目を終えました。
テスト結果は上々 でも時代が変化して退役へ
1984(昭和59)年の12月14日。アメリカの航空機メーカー、グラマンが開発した前進翼実験機X-29が初飛行しました。
この機体は、後退翼とは逆の「前進翼」という前方に向けて傾斜をつけて取り付けられた主翼の特性を試験するために造られたテスト機で、製造コストを抑制するために既存機の部品を多く流用しています。
コックピット周辺を含む胴体前半部分はF-5A戦闘機のものを流用し、主脚などにはF-16戦闘機のものが用いられています。ただ、キモとなる前進形状の主翼は当時最新の炭素繊維複合材で構成されていました。これは軽量ながらも剛性を確保する必要があったからで、主翼は33度の傾斜角で取り付けられていました。
また、優れた機動性と高い操縦安定性を両立させるために、飛行制御はパイロットによるマニュアルではなく、フライバイワイヤとデジタル・コンピューターによる自動制御となっており、さらにバックアップとしてアナログ・コンピューターも搭載していました。
実機は2機造られ、初飛行から約1年後の1985(昭和60)年12月13日には前進翼航空機として初の超音速飛行にも成功しています。
ただ、戦闘機に求められる性能が、機動性よりもステルス性の方に比重が置かれるようになったこと、そして機動性の追求は推力偏向ノズルなどで対応できるようになったことなどにより、1992(平成4)年で各種試験は終了、退役となりました。
2021年現在、試作機は国立アメリカ空軍博物館とNASAのドライデン飛行研究センター(旧アームストロング飛行研究センター)に1機ずつ保存・展示されています。
【了】
※誤字を修正しました(12月14日9時15分)。
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