エアバス異形の輸送機「ベルーガ」数奇な生い立ち 22年ぶり日本飛来 今後はもっと出現?
ご先祖はボーイングの熱帯魚!?
そこでエアバスは、後に世界市場で覇を争うことになるボーイングの輸送機をベースに開発された「スーパーグッピー」に目を付けます。
スーパーグッピーはボーイングのレシプロ旅客機「377」の軍用機型C-97Jに、アメリカのエアロ・スペースラインが大規模な改造を加えて開発した輸送機です。NASA(アメリカ航空宇宙局)のサターンロケットなどの大型機材を輸送する目的でした。のちのベルーガと同様、胴体上半分に大きな貨物室を設け、機首部から大型の貨物を積み下ろしする仕組みとなっています。
エアバスは、最初に開発した旅客機A300の製造と販売が軌道に乗った1970年代前半にスーパーグッピー4機を導入し、ヨーロッパ各地で製造された胴体や主翼などをトゥールーズへ迅速に輸送する体制の構築に成功しました。
前出の通りスーパーグッピーはボーイング純正の輸送機ではないのですが、スーパーグッピーがエアバスの円滑な製造体制の構築に貢献したことから、「すべてのエアバス機はボーイングの翼によって届けられた」と揶揄されたという話もあります。
ただスーパーグッピーは特殊な形状のため操縦が難しく、また原型機のボーイング377が1940年代に開発された航空機のため、部品の調達も困難となったことから、エアバスは1990代前半にベルーガを開発。これにより同社のスーパーグッピーはすべて退役しました。うち2機はエアバスの工場に隣接するトゥールーズ・ブラニャック空港とドイツのハンブルク・フィンケンヴェルダー空港で展示機として余生を過ごしています。
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