エアバス異形の輸送機「ベルーガ」数奇な生い立ち 22年ぶり日本飛来 今後はもっと出現?
エアバスvsボーイング 今後は日本が焦点に?
ベルーガの運航は1996(平成8)年に開始しましたが、その後エアバスの旅客機の生産数が急増したことから、同社は2011(平成23)年、運航の効率化により輸送機の飛行時間を増やし、輸送量アップにつなげる計画「フライ10000」を実施しました。それでも輸送需要を満たすことが困難となったことから、エアバスはベルーガの原型機より大型で航続距離も長いA330をベースとする大型輸送機「ベルーガXL」を開発し、同機は2020年1月9日から運航を開始しています。
こうした流れは、スーパーグッピーでエアバスの飛躍に手を貸す形となってしまったボーイングでも同様です。
ボーイングは767から、日本企業の製造分担を大幅に引き上げ、787ではそれが35%に達しました。またイタリアでも多くの部位が製造されていることから、ボーイングは日本とイタリア、アメリカ国内の工場で製造された787の部品を円滑に輸送するため、747-400に大規模な改造を加えた輸送機「ドリームリフター」を製造し、同機は日本にも頻繁に飛来しています。
対するエアバスも、日本企業との連携を強化しようとしているようです。2022年1月7日付の「Wing Daily」はエアバス・ジャパンのステファン・ジヌー社長が「将来開発される次世代旅客機の日本企業の製造分担を20%以上にまで拡大したい」と述べたと報じています。
エアバスの次世代旅客機の製造を、日本企業がどの程度分担できるのかは未知数ですが、もしジヌー社長が言う20%以上という製造分担が実現すれば、日本の空港でドリームリフターとベルーガXLが静かな火花を散らす光景を見られる……かもしれません。
【了】
Writer: 竹内 修(航空ジャーナリスト)
海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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