北朝鮮が発射した「極超音速兵器」ってなに? 知れば知るほど厄介な最新兵器!

ミサイル防衛が直面するHGVの問題

 このように、HGVは「低高度をマッハ5以上で飛翔し、かつ機動可能」という特徴を持っているため、既存の弾道ミサイル防衛(BMD)システムでは対応が難しいのではないかとの指摘もあります。

 たとえば、ミサイルを早期に捕捉する地上配備型の早期警戒レーダーでは、弾道ミサイルであればその到達高度が高いため、比較的早い段階で地平線の上に弾頭が出現し、その飛翔を早期に探知することができます。ところが、HGVの場合は到達高度が低いため、かなり接近した段階ではじめて地平線の上に弾頭が姿を現すことになります。つまり、弾道ミサイルに比べて探知が大幅に遅れるというわけです。

 また、迎撃ミサイルによる迎撃にも問題が生じます。現在、一般にBMDに関してはイージス艦に搭載されている海上配備型の迎撃ミサイル「SM-3」と、地上配備型の迎撃システムである「PAC-3」や「THAAD(終末高高度防衛)」という2段、3段構えの体制がとられています。

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海上自衛隊の護衛艦「こんごう」から発射されるSM-3ミサイル(画像:アメリカ海軍)。

 このうち、SM-3は高度70km以下を飛翔する目標を迎撃することができないといわれており、HGVに対応することが極めて難しいとされています。また、地上配備型システムに関しても、高度の問題は解決される一方で、その防護範囲はSM-3と比較して狭まってしまうほか、HGVが機動可能であることから、その迎撃が困難となる可能性もあります。そのため、現在アメリカではこうした問題に対処するべく、新型迎撃ミサイルの開発や衛星を用いた探知システムの構築を進めています。

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コメント

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1件のコメント

  1. 弾道ミサイルはコースが予測できるので迎撃ミサイルは弾道ミサイルの速度よりかなり遅くてもコースに割り込めた(^o^)のですが、HGVのは予測できないので迎撃弾はHGVより速い速度で飛ばないとかもしれません(;o;)