北朝鮮が発射した「極超音速兵器」ってなに? 知れば知るほど厄介な最新兵器!

実は日本も極超音速兵器を開発中

 この極超音速兵器、実は日本も開発を進めています。それが、「島しょ防衛用高速滑空弾」と「極超音速誘導弾」です。

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防衛装備庁の極超音速兵器を含むスタンドオフ兵器の開発に関するロードマップ(画像:防衛装備庁)。

 島しょ防衛用高速滑空弾は、極超音速兵器としてはHGVに分類されるもので、2026年から配備が開始される予定の「早期装備型(ブロック1)」と、2030年代に運用が開始される見込みで、ブロック1から弾頭形状などを変更して射程や速度などを向上させる「能力向上型(ブロック2)」という2段階の開発が行われます。

 一方で極超音速誘導弾は、現在、防衛省が開発を進めている「デュアルモードスクラムジェットエンジン」を用いて飛行する極超音速巡航ミサイルです。デュアルモードスクラムジェットエンジンは、超音速(マッハ1.3からマッハ5)の速度域で効率よく動作するラムジェットエンジンと、極超音速の速度域で動作するスクラムジェットエンジンを組み合わせたもので、これにより幅広い速度域で効率よく飛行する巡航ミサイルの実現が期待されています。

 このほかにも、アメリカや中国、ロシアも極超音速兵器の開発と配備を進めていて、とくに中国は「DF-17」と呼ばれるHGVをすでに配備しているなど、日本の安全保障にとっては大きな脅威となっています。いまや、極超音速兵器は日本を取り巻く安全保障環境におけるひとつのトレンドとなっているのです。

【了】

日本も開発中「極超音速飛しょう体」と「スクラムジェットエンジン」のイメージ

Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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コメント

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1件のコメント

  1. 弾道ミサイルはコースが予測できるので迎撃ミサイルは弾道ミサイルの速度よりかなり遅くてもコースに割り込めた(^o^)のですが、HGVのは予測できないので迎撃弾はHGVより速い速度で飛ばないとかもしれません(;o;)