「二酸化炭素を資源に」実現へ一歩 世界初「CCUS」用途の液化CO2輸送船を建造へ 三菱造船
将来、CO2の長距離大量輸送が始まることを見据えた動き
これまでも、食品用途で用いられるLCO2(液化CO2)を輸送する船舶は、ヨーロッパや日本で建造・運用されてきた実績があります。しかし、CCUSを目的としたLCO2輸送船の建造は前例がなく、完成すれば本船が世界初になるとのこと。
三菱造船は、これまでLPG(液化石油ガス)やLNG(液化天然ガス)といったガスを液体化して運ぶための特殊な輸送船を数多く建造してきたことから、その建造で培った知見や高度なガスハンドリング技術などを活用することで、LCO2輸送船についても搭載される舶用タンクシステムを含む設計から建造までを一貫して担うといいます。
都市部や工業地帯などCO2を多く排出する地域と、それを貯留し再活用するエリアが離れていることが多いため、CO2を安全かつ低コストで輸送する手段として、LCO2船は将来的に需要が拡大すると期待されています。
なお、建造は三菱造船、発注は山友汽船ですが、運航については、冒頭に記したNEDOの事業を受託している業者のひとつである一般財団法人エンジニアリング協会が、山友汽船から傭船する形で行うとのこと。また、同協会の再委託先として、川崎汽船や日本ガスライン株式会社、国立大学であるお茶の水女子大学が、本船で輸送するLCO2の圧力制御・安定性の研究開発や実証試験方案の作成業務などを受託し、CO2の安全かつ低コストな輸送技術の開発・実証などを行っていくとしています。
LCO2輸送の実証試験船は、全長72.0m、幅12.5m、喫水4.55mで、タンク容積は1450立方メートルとのこと。三菱重工下関造船所の江浦工場で建造を開始し、完成および引き渡しは2023年度後半を予定しています。
ちなみに、リサイクルされたCO2の利用先は、ポリカーボネートなどの化学品、バイオマス由来の燃料、コンクリートなどの鉱物製品などが考えられています。
【了】
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