ロールス・ロイス実験機「電動の乗り物世界最速」に 実は国ぐるみで実現 航空機電動化の最前線
高出力モーター3個で飛行
一方の「スピリット・オブ・イノベーション」は、機首にエンジンではなく小型高出力モーター3個を搭載し、トランスミッションで回転力を一軸にまとめてプロペラを回すようになっています。用いるのはYASA社製のモーターです。YASA社は自動車用モーターの製造を目的に設立されたイギリスの企業ですが、2021年にメルセデス・ベンツが買収しました。
「スピリット・オブ・イノベーション」のモーターやトランスミッション、制御機器とバッテリーの全てがコックピット前方の胴体内に収められています。バッテリーは6480個のセルで構成されており、その容量は216kWH。航空機搭載用としては最高のエネルギー密度とのこと。モーター3個の連続合計出力は400kW、これは馬力換算だと約536馬力で、2400rpmにてプロペラを駆動します。
ロールス・ロイスは航空機エンジンの代表的メーカーのひとつですが、二酸化炭素排出ゼロの分野でも先進的な技術力を維持し、航空機市場において優位に立つことを戦略として掲げています。そのため、電気推進の航空機開発に必要なデータを収集するため、アクセル(ACCEL:Accelerating the Electrification of Flight)プロジェクトを立ち上げました。そして、このプロジェクトの一環として実験機の「スピリット・オブ・イノベ-ション」が製作され、2021年9月15日に初飛行したのです。
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