ロールス・ロイス実験機「電動の乗り物世界最速」に 実は国ぐるみで実現 航空機電動化の最前線
イギリス政府も大きく関与するゼロエミッション戦略
このアクセル・プロジェクトは、資金の50%を英国航空宇宙技術院(ATI:Aerospace Technology Institute)と英国ビジネス・エネルギー産業戦略省が拠出しています。イギリス政府はCOP26を見据えたゼロエミッション戦略とともに、航空宇宙産業を重視した産業政策を展開しており、アクセル・プロジェクト以外にも多くの航空機電動化の研究開発プロジェクトに出資しています。
シーメンスとロールス・ロイスの電動実験機は、ともに既存のピストンエンジン搭載機をベースに製作されました。そのため、エアフレームは電動機に最適化した構造とは言えないものの、重いバッテリーを搭載してまずまずの飛行性能を叩き出しています。
これら電動実験機によって得られた貴重なデータは、新たな電動航空機の開発に役立つことは間違いありません。2026年には世界初の電動コミューター機が登場する見込みです。世界は航空分野でも電動化の流れが加速しつつあることから、日本がこの分野で後れを取らないことを望みます。
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Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)
航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事
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