「後ろ1両ドア開きません」関西最後のドアカット解消 大塩駅 遅れた背景にリゾート計画

実現しなかった駅移転 そこに道路が来る?

 大塩駅の南側には、移転が計画されていた用地につながる細長い土地が、いまでも「山陽電鉄社有地」として残っています。しかし近年は分譲住宅への転用が進んでおり、いずれはその名残が消滅するかもしれません。また広大な用地は日当たりの良さを生かし、県内有数のメガソーラー発電所として、違う形で地域に貢献しています。

 そしていま、海沿いの塩田跡地は、加古川バイパスから姫路市広畑地区を東西に結ぶ高規格道路「播磨臨海地域道路」の用地として注目を浴びています。40km近くにおよぶ道路計画のうち、高砂市~姫路市飾磨(飾磨バイパス入口)は2016(平成28)年に「整備を優先すべき区間」とされ、調査が進んでいます。この計画線上でまとまった土地が空いているのは大塩地区だけ。もしここに出入口が整備されれば、山に囲まれている上に道の細さなどから渋滞も多い大塩地区のアクセスは一変することでしょう。

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新設された大塩駅南口。送迎車などのバスロータリーを整備中(宮武和多哉撮影)。

 この播磨臨海地域道路は、国道2号バイパス(加古川バイパス・姫路バイパスなど)のさらにバイパスとしての機能を持ちます。国道2号バイパスは1日2~3万台のトラックが走行し、渋滞も多く、また建設から50年が経過していることから大幅な改修は避けられず、新しいルートの建設が急がれています。山陽道・中国道などの高速道路網からは大きく外れている播磨地区の臨界部で、塩田跡地があらたな大動脈として生まれ変わるのか注目されます。

【了】

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Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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