JALとANAの「ロシア上空迂回ルート」なぜ異なる? JALは「とりあえず北から」、ANAは南へ
ANAの南回り、JALのとりあえず北はなぜ?
ANAの平子社長によると北回りの場合「ETOPS運航時のダイバート先(緊急時に着陸する代替空港)が、良い空港が取れない可能性もある」とのこと。
通常、双発機はエンジン1基が停止したときなどに備え、条件の整った空港へ60分以内に降りられる範囲を飛行しなければいけません。「ETOPS」は一定の条件を満たし信頼性が認められた航空会社と機体に限り、その時間制限を大きく緩和するルールです。
ただ、「ETOPS運航」でも代替空港を選ぶことが必要です。平子社長の発言は、北回りルートでは、そのときに条件の整った空港を設定することが、南回りと比べて難しいという意味でしょう。事実南回りであれば、ANA定期便が就航する空港の近くを飛ぶことができます。
一方でJALの幹部は、「南回りは今後検討する」としているものの「(南回りルートにある)ヒマラヤ上空では強いジェット気流が吹きます。北回りは南回りと比べて100マイル(約185km)程度飛行距離に差があり(北回りの方が遠い)、風向きまで考慮すると一概に北回りが遠いとはいえないと考えています」とコメント。
ただ、JALの北回りルート採用は、緊急性を踏まえた交通網の確保のための”暫定対応”ともいえます。
ヒースロー空港は、JALと欧州線の共同事業パートナーを組む英・ブリティッシュ・エアウェイズの拠点。ここから欧州各国へ乗り継げることを優先した形で、JALの担当者も「最速で準備できるステーションがヒースローだったということです」と話します。また今後「可能性としては、北回りと南回りを組み合わせて飛ばす可能性も十分考えられる」とのことです。
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