ロシアが撃った極超音速ミサイル「キンジャール」とは 虎の子兵器「軍事的に実用性なし」?
なんとも大げさな手段に打って出たロシア
キンジャールは2018年3月1日に、ロシアのウラジミール・プーチン大統領が年次教書演説で挙げた6つの将来戦略核兵器のひとつであり、いわばロシアにとって「虎の子」と言える存在です。
その虎の子を、防空システムが充実しているとは言い難いウクライナへの攻撃に使用する、いわば「牛刀をもって鶏を割く」、大げさな手段としか言いようのない使い方には、アメリカ政府の高官でなくても首をかしげたくなるところです。
ロシアがウクライナへの攻撃へキンジャールを使用したのは、心理的な効果を狙ったものではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。
第二次世界大戦の末期、ドイツは世界初の弾道ミサイル「V2」を使用して、イギリスやフランス、ベルギーなどへの攻撃を行っています。当時の技術では探知も迎撃も困難で、空襲警報が発令されることもなく、気付いたら着弾して被害を及ぼすV2は、攻撃を受けた国の市民に大きな不安を与えたと伝えられています。
ロシアの侵攻から1か月が経過した現在も、ウクライナは粘り強い戦いを続けていますが、それはウクライナ国民の高い士気に支えられています。その士気をそぐため、V2と同様、気付いたら着弾して被害を及ぼすキンジャールを使用するのであれば、それは一面において合理的であると言えます。
ロシアの軍事作戦はお世辞にも順調に進んでいるとは言い難く、それが外国からのロシアに対する評価の低下と、ロシア国民の士気の低下につながる可能性は十分にあります。
既存の防空システムでは探知と迎撃が困難と言われているキンジャールによる攻撃を成功させることで、ロシアの軍事力は軽視できるものではないという事を国内外にアピールしたいとロシアが考えたとしても、それは不思議なことではありません。
筆者が推測したように、ロシアが心理的効果を得る事を主な目的にキンジャールを使用しているとすれば、それは戦局が思い通りに進まない、ロシアの焦りの表れであるように感じられてなりません。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
図体がデカくて1発しか搭載できない一方、弾頭は500kg爆弾クラス。
そう言う面では実用性は低いが、核弾頭にすれば破壊力が向上するから実用性もあるだろうな。
ウクライナをナチ化してると非難しておきながら
ロシア軍のやってる事はナチス攻勢に似てるなんてな
しかも形勢不利な時の新兵器による限定的な苦肉の策だし
過去の大戦の教訓は生かされていないね。