操縦席直上にエンジンの空気吸入口…なぜそうなった? 危険なニオイのF-107試作戦闘機

ジェット戦闘機の空気取り入れ口は、機首や機体下部、機体側面に見られるものですが、機体上部というのはあまり聞いたことがありません。とはいえ過去には、その構造に挑戦した機体がありました。

空気取り入れ口を背負い式にした理由とは…

 航空機が搭載するジェットエンジンは、空気に燃料を噴射し、その混合気を燃焼させることで推進力を生み出しているため、胴体内に組み入れる場合は、機体のどこかに空気取り入れ口を開ける必要があります。

 理想は機首に開口部を設けることで、初期のジェット戦闘機などはその形状でした。そののち、機首にレーダーを装備するようになると、機体下部や機体側面に設けられるようになります。そうしたなか、あえて空気取り入れ口を機体上部に設けたのが、ノースアメリカンF-107試作戦闘機です。

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ノースアメリカンが開発したF-107「ウルトラセイバー」戦闘機(画像:アメリカ空軍)。

 もともとF-107は、F-100「スーパーセイバー」戦闘機の改良発展型として、マッハ2以上の超音速で飛べ、なおかつ核爆弾も搭載可能な戦闘爆撃機として計画されました。計画にはレーダーの搭載も含まれていましたが、F-100は機首に空気取り入れ口を設けていたため、これを機体のどこかに移設する必要に迫られます。

 そこで、まずは機体下部に空気取り入れ口を配置することが検討されますが、この場合、空気取り入れ口の周りから出る衝撃波が、投下した爆弾と干渉して落下の軌道を狂わせる恐れが出てきました。

 狙った場所に爆弾が投下できないのは問題です。それならば衝撃波の干渉が生じない場所に空気取り入れ口を設けようといろいろ検討した結果、胴体上部になりました。

 こうして特徴的な外観のF-107ができあがったのですが、アメリカ空軍はF-107を採用せず、対抗馬であったリパブリックのF-105「サンダーチーフ」戦闘爆撃機を採用しました。

【写真】脱出時は恐怖かも 頭上に開いた空気取り入れ口

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コメント

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3件のコメント

  1. フォルクスイェーガーだっけか、WW2末期のドイツ空軍機が背中にインテイク(というかジェットエンジンそのもの)があった。また、スウェーデンのサーブグリペンの開発中には背負い式インテイクを検討してた(キャノピーの影で投影面積減らせるから)とのこと。グリペンがやめたのは、大迎角での気流の乱れのため。F-107もそうなんじゃないかな?

  2. 機体上部に空気取り入れ口を設けたジェット機に、アメリカのF2Y シーダートというのも有りましたね。こちらは離着水するために開口部を機体上部にしなくてはならなかったのではありますが。
    超音速ジェット水上戦闘機という機体を試作できる国もすごい。

  3. 無人機だと丈夫エアーインテークが当たり前、レーダーの反射率を下げるためだが。