陸自の新型「トラック改造自走砲」ようやく実射初披露 「19式装輪15榴」機動性は抜群!

陸上自衛隊の新装備、19式装輪自走155mmりゅう弾砲の実弾射撃が、駐屯地モニターとして登録された一般人に向けて公開されました。車両の初公開から3年越しでの実射披露、なぜ時間がかかったのか推察します。

総火演で実射を見せるか?

 車体が安定しないのであれば、クレーン車のようなアウトリガー(転倒防止用の支え)を装備すればよいのでは、と思われますが、そうした場合、射撃動作に加えてこのアウトリガーの操作が必要になります。

 これでは、「速やかに撃って速やかに離脱する」というこの種の車両、すなわち自走砲のコンセプトから外れてしまいます。そのため、車体後部に取り付けられた底板だけで車体を安定させなければならないという制約があるなかで、実弾射撃に関する研究が行われていたのでしょう。

 こうした研究射撃のため、特科教導隊は北海道にある日本最大の演習場である矢臼別演習場などで射撃を繰り返して、19式装輪自走155mmりゅう弾砲が最も安定する射撃姿勢を探求し、ようやく、矢臼別演習場よりも狭い東富士演習場でも安定して射撃できるとの判断が下ったと考えられます。この結果を生み出すまでには約2年の年月が掛かりました。

Large 20220330 01
富士の裾野にある東富士演習場を走る19式装輪自走155mmりゅう弾砲(武若雅哉撮影)。

 ちなみに、従来、陸上自衛隊が装備してきた自走りゅう弾砲はすべて履帯、いわゆるキャタピラ駆動の装軌車体ばかりであったため、ここまで車体の安定性を研究する必要はなかったようです。つまり、長い年月を掛けたのは、陸上自衛隊で初めてのタイヤを履いた装輪自走砲であるがゆえの課題だったともいえます。

 関係者の努力の結果として東富士演習場での実弾射撃に成功した装輪15榴。2020年度から富士総合火力演習の開催時期が8月末から5月末に変更されたため、そこでの披露に向け、これから演習場での射撃機会も増していくことでしょう。

 なお、今回の公開実射訓練では半自動装てん装置は使われず、1発ずつ手動で装填されていました。そのため、今年の総火演では半自動装てん装置が使われるのか、その部分も注目です。

【了】

【飛び出た瞬間の砲弾も】装輪15榴の装填シーンから射撃まで

Writer:

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス