創設60年目の大改編 第1師団に新編の「偵察戦闘大隊」とは 首都の護りどう変わる

従来装備、10式戦車&74式戦車の行方

 調べてみると、第1偵察戦闘大隊は、その部隊名のとおり、まずは「偵察」を行います。有事の際には敵の状況を監視し、災害派遣などでは被災地の状況をつぶさに確認して、各種情報を第1師団のトップである師団長へ報告するのが本分になるようです。しかし、これだけでは従来の偵察部隊、すなわち第1偵察隊と大差がありません。そこで登場するのが、偵察だけでなく機動打撃も得意とする16式機動戦闘車です。

 16式機動戦闘車を運用する戦闘中隊が隷下に編成されていることで、偵察戦闘大隊の役割である偵察を実行しつつも、即応機動連隊が移動した地域に展開して通信を中継し、さらには偵察中に発見した敵部隊に対して必要に応じ射撃を行うなど、積極的な威力偵察ができるようになっているのです。

 また、騎兵の名の如く、膠着した戦闘場面を打開するため高い機動性を活かして敵の側方に迂回、敵に対して不意急襲射撃を行うことで、敵部隊をかく乱させることもできるのではないでしょうか。

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朝霞駐屯地で行われた第1偵察戦闘大隊の編成完結式で隊旗を受領する第1偵察戦闘大隊長(武若雅哉撮影)。

 陸上自衛隊全体でみても、偵察戦闘大隊の発足は、福岡県に所在する第4師団隷下の第4偵察戦闘大隊に続き2例目です。現場レベルでの部隊運用はまだまだ手探り状態ですが、普通科連隊や即応機動連隊などと連携することで、偵察戦闘大隊は新たな時代の国防に必須となる骨幹的部隊へと成長することでしょう。

【了】

【真新しい部隊旗も】廃止&新編に伴う車両移動の様子ほか

Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

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