米空軍「世界の終わりの飛行機」E-4Bのフル・シミュレーターをネブラスカ州に設置

運用がシビアであるがゆえの悩みかも。

実機では行えない緊急事態を想定した訓練も可能に

 アメリカ空軍ライフサイクル管理センター(AFLCMC)は2022年4月5日、第595指揮統制群にE-4B「ナイト・ウォッチ」のフルモーション・シミュレーターを納入したと発表しました。

 第595指揮統制群は、アメリカ本土中西部のネブラスカ州オファット空軍基地に所在する部隊で、核兵器を管理・運用する専任部隊である空軍地球規模攻撃軍団(グローバル・ストライク・コマンド:AFGSC)の指揮の下、E-4Bを運用しています。

 このE-4Bは、「ジャンボジェット」の愛称で知られるボーイング747型機をベースにした軍用機ですが、空対空戦闘や対地対艦攻撃を行うものではありません。有事の際には大統領や国防長官、統合参謀本部議長など、国の指揮をとり命令を下す人物が乗り込む、いわば「空中作戦センター(NAOC)」といえる役割の機体です。

 まさに万一の際には同機から核攻撃命令を下すことから「Doomsday Plane(世界の終りの飛行機)」という名でも知られる航空機です。

Large 220411 e4b 01

拡大画像

アメリカ空軍のE-4B(画像:アメリカ空軍)。

 第595指揮統制群ではE-4Bを4機運用していますが、乗員の訓練を行う場合、これまではフロリダ州にあるボーイング747の訓練装置に頼るしかなく、もしくは運用上、問題ない時間に限定して実機を用いての訓練を行うしかなかったそうです。

 今回、フルモーション・シミュレーターが基地内に設置されたことにより、実機の運用に制限されることなく、また遠くフロリダまで足を運ぶことなく、定期的なトレーニングを行うことが可能になったとのこと。これにより、乗員の訓練環境が改善され、彼らが実任務に対応するための準備を常に行うことができるようになったとしています。

 また、シミュレーターを用いることで、実機では行えない緊急事態を想定した危険な任務を訓練することもできるようになったそうです。

【了】

【世界に4機のみ】E-4B「ナイト・ウォッチ」を上から後ろから

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。